信州でもっとも大きい湖・諏訪湖のほとりに佇む、サンリツ服部美術館。建築家・内井昭蔵さんによる設計で、「水辺より湧き上がる雲」をイメージして建てられました。
この美術館の最大の魅力は、東西の芸術文化と出会えること。国宝「白楽茶碗 銘 不二山・本阿弥光悦作」をはじめ、絵画・書・工芸品などの茶道具、西洋近代絵画など、創設者の服部一郎さんとその家族および株式会社サンリツにより収集された約1400点もの作品が収蔵されています。
そんなサンリツ服部美術館にて、現在ふたつの企画展が開催中。「開館30周年記念 水のある風景」と「工芸の文様 美をまとう道具」です。
湖を囲む諏訪の地のような“水のある風景”を
今年、開館30周年を迎えるサンリツ服部美術館。館内2階の喫茶室からは、季節や時間帯によって多彩な表情をみせる諏訪湖を間近に眺めることができます。そんな水辺のほとりに位置し、湖を囲む諏訪の地にあるこの美術館の30周年を記念して開催されるのが「水のある風景」です。
今回の企画展では、湖・川・海、水を象徴的に描いた近現代の作品が多数展示されます。古来より多くの人々をひきつけてきた自然の景色。なかでも、湖畔や河川、雄大な海など、水辺の風景を描いた作品は、画家たちが特に好んで題材としてきたそう。
また、水にはさまざまなイメージが重ねられるため、画家の心象風景を表したり、その地域の風土を象徴するものとして描写されるなど、その表現は多岐にわたっています。展示を通して、画家たちが描いた多様な水の風景を楽しむことができますよ。
古くから人々の生活に根付いてきた“文様”
ふたつめの企画展は、美術館の所蔵品のなかから、陶磁器、漆工、染織品といった工芸品に施された“文様”にスポットを当てた「工芸の文様 美をまとう道具」です。
食器・衣服・装飾品・建物など、実は私たちの身の回りのものにさまざまな文様が表されているのをご存知でしたか? 文様は古くから人々とともにあり、幾何学文や動物文、植物文、人物文など、多種多様な意匠の文様がつくられてきました。その土地の風土や習慣、時代の流行を反映した個性豊かな文様には、当時の人々の願いや美意識が込められているんです。
展示では、良縁を意味する七宝繋文が透かし彫りされた虫籠や、和歌や古典文学に多く登場する武蔵野の風景を象徴するモチーフが描かれた鉢、桃山時代から江戸時代初期に流行した菊桐文様が施された棗などの工芸品が並びます。文様の美や歴史に触れることのできる貴重な機会です。
「開館30周年記念 水のある風景」は8月31日まで、「工芸の文様 美をまとう道具」は5月11日までの開催となっていますので、ぜひ足を運んでみてください。
[開館30周年記念 水のある風景]
- 開催期間
- 〜2025年8月31日(日)
- 時間
- 9:30〜16:30
- 場所
- サンリツ服部美術館(長野県諏訪市湖岸通り2-1-1)
- 入館料
- 大人=1,100円、小中学生=400円
- 詳細ページ
- https://sunritz-hattori-museum.or.jp/pages/59/
[工芸の文様 美をまとう道具]
- 開催期間
- 〜2025年5月11日(日)
- 詳細ページ
- https://sunritz-hattori-museum.or.jp/pages/237/