信州でもっとも大きい湖・諏訪湖のほとりに佇む、サンリツ服部美術館。建築家・内井昭蔵さんによる設計で、「水辺より湧き上がる雲」をイメージして建てられました。
この美術館の最大の魅力は、東西の芸術文化と出会えること。国宝「白楽茶碗 銘 不二山・本阿弥光悦作」をはじめ、絵画・書・工芸品などの茶道具、西洋近代絵画など、創設者の服部一郎さんとその家族および株式会社サンリツにより収集された約1400点もの作品が収蔵されています。
そんなサンリツ服部美術館にて、9月9日より、新しいふたつの企画展がはじまります。
約60点もの貴重な茶道具を展示
ひとつめの企画展は、美術館の開館30周年を記念した特別企画展「数奇者 服部山楓」。サンリツ服部美術館の茶道具コレクションの礎を築いた数寄者である服部山楓に焦点を当てた展示となっています。
山楓は、時計王・服部金太郎の次男として生まれ、戦後間もなく服部時計店3代目社長に就任。高精度の時計の開発に尽力し、1964年開催の東京オリンピックでは公式時計に採用され、世界初のクォーツ腕時計の商品化に成功するなど、セイコーを国際的なブランドへと発展させました。
その一方で、山楓は茶の湯に親しんだ人物としても知られていたんです。自らの美意識にかなった茶道具や美術品を蒐集して数多くの茶会を開き、趣向を凝らすだけでなく、わびも感じさせる山楓の茶は評判となり、東京を代表する数寄者としてその名が広まっていきました。
今回の企画展では、山楓ゆかりの作品を前後期合わせて約60点展示。茶会で披露された茶道具などを通じて、数寄者・服部山楓の姿に触れられる貴重な機会となっています。
9月27日には、この企画展にちなんで「記念茶会」も開催。美術館2階の喫茶室にて、1席目から9席目までにわけて行われます。茶会というと少しハードルが高く感じるかもしれませんが、椅子に座って抹茶と菓子を楽しむ茶会となっていますので、お気軽にお申し込みください。
「時間」をテーマに表現された絵画をセレクト
ふたつめの企画展は、開館30周年記念「絵の中の時間」。セイコーエプソン初代社長である服部一郎さんが収集したコレクションのなかから、「時間」をテーマにした作品が展示されます。
私たちの周りを常に流れ、過去から現在、現在から未来へのうつり変わりとして意識されている「時間」。目には見えないため非常にとらえにくいものですが、絵画には時刻や瞬間、永遠など時間に関するさまざまなものが表現されてきました。
服部時計店三代目社長・服部正次の長男であり、服部時計店での開発製造にも携わっていた服部一郎さんのコレクションのなかには、時計が描かれた作品がいくつもあるのだそう。
そこで今回の企画展では、開館30周年を記念して、時計をテーマにした作品の展示とともに、絵画のなかに表されたさまざまな時間に注目して作品を紹介。形のない時間の表現を楽しむひとときをお過ごしください。
[数奇者 服部山楓]
- 開催期間
- 2025年9月9日(火)11月24日(月・祝)
- 時間
- 9:30〜16:30
- 場所
- サンリツ服部美術館(長野県諏訪市湖岸通り2-1-1)
- 料金
- 大人=1,200円、小中学生=400円
- 休館日
- 祝日を除く月曜、10月15日(水)、10月19日(日)
- 詳細ページ
- https://sunritz-hattori-museum.or.jp/pages/265/
[絵の中の時間]
- 開催期間
- 2025年9月9日(火)〜2026年4月12日(日)
- 料金
- 大人=1,100円、小中学生=400円
※「数奇者 服部山楓」開催中期間は大人=1,200円、小中学生=400円 - 詳細ページ