諏訪の地酒と季節のつまみ、今回は諏訪五蔵の一つである本金酒造の「純米吟醸 諏訪」をご紹介します。
米も水も酵母も“オール諏訪産”の純米吟醸に合わせたのは、豚の角煮と冷奴。落ち着いた香りでどんな料理にも合う、毎日飲んでも飲み飽きないお酒でした。
裏表なし、本当の一番(金)を目指す小さな蔵
本金の創業は宝暦6(1756)年。今から264年前です。当時上諏訪町(現在の諏訪2丁目あたり)には13軒の造り酒屋があり、その1軒でした。
銘柄である「本金」には、「本当の一番(金)」を目指すという願いが込められています。また2文字とも左右対象であり、裏表のない商売を心がける誠実な姿勢を表しています。
年間の製造量は100石強(18,000リットル)の極少量。家族を中心に営む小さな蔵ですが、2003年には全国新酒鑑評会金賞を受賞。
9代目蔵元の宮坂恒太朗さんとお連れ合いのちとせさんに、本金の酒造りについて、またおすすめの飲み方についてお話を伺いました。
1979年長野県諏訪市生まれ。大学で経営学を学んだ後、都内の酒屋に就職。2005年にUターンし、2008年に家業である「酒ぬのや本金酒造」の杜氏に就任する。2011年に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。車椅子での生活を余儀なくされながらも、妻のちとせさんと支えあいながら杜氏として酒造りに励む。障害があっても暮らしやすい街づくりを目指す「らくらく入店の会」発起人の1人。
水・米・酵母 オール諏訪産の純米吟醸
原材料 :米、米麹
アルコール分:16度以上17度未満
精米歩合 :55%
使用米 :長野県諏訪産 美山錦
ーー「純米吟醸 諏訪」はどんなお酒ですか?
恒太朗さん:「諏訪」は米も水も酵母も、全て諏訪産というお酒です。米は諏訪市湖南で栽培している美山錦。酵母は「真澄」の蔵元、宮坂醸造さん発祥の7号酵母。水は霧ヶ峰の伏流水。諏訪のものを使って、諏訪の人が醸すお酒です。
ーーまさにオール諏訪産ですね! 味の特徴はなんでしょうか?
恒太朗さん:本金のコンセプトとして、「すっと飲みやすい」「程よく味と香りが膨らむ」「主張しすぎない」という3つを掲げています。お酒というのはあくまで食事やコミュニケーションのためのものだと思っていて。味も香りも地味ですが、料理や会話をより楽しめるようなお酒を目指しています。
「諏訪」も深みと酸のバランスがよく、すっきりと飲みやすいお酒になっています。今年は特に香りよく仕上がっていますよ。
ーーどんな料理と合わせたら良いでしょうか?
ちとせさん:こういっちゃなんだけど、なんでも合います! シメサバとか、ぶりしゃぶとか、豚の角煮とかもいいし…
恒太朗さん:こってりしたものにはこってりしたものなりに合うし、すっきりしたものにはすっきりしたものなりに合う。
ちとせさん:おでんもいいね。まあ好きなものと飲んでみてください(笑)。
恒太朗さん:こういう時ってつい偉そうなことを言っちゃうんですけど……うまい酒はうまいんですよ。
ーーうまい酒はうまい。真理ですね…!
本金 純米吟醸「諏訪」飲んでみた。
ということで、本金 純米吟醸「諏訪」、飲んでみました!
メニューは
・豚の角煮(こってり代表)・冷奴(すっきり代表)・野沢菜漬け(信州の定番代表)!
感想は……
はあ〜〜〜なんだこの飲みやすさは。「すっと飲みやすい」「程よく味と香りが膨らむ」「主張しすぎない」のコンセプトをそのまま表している!
口に含んだ瞬間ふわっと甘みが広がりつつ、酸でスッと流れていく感じ…。確かに華やかではないけれど、毎日の食事といっしょに飲みたいお酒です。鼻に抜ける香りも穏やかで、合わせる料理を選ばない。しかし飲みやすすぎてちょっと危険! 飲み過ぎ注意!!
でした。
本金のお酒は酒販店等でお買い求めください。
八ヶ岳のセレクトショップ「ハチカッテ」でも看板商品の「太一」が購入できますよ。
【日本酒】 酒ぬのや本金酒造 からくち 太一 【720ml】