長野県岡谷市にある「日本童画美術館 イルフ童画館」。童画家武井武雄の童画、版画、刊本作品をメインに、一般の童画なども収集、展示している美術館です。
常設展示では武井武雄の童画・版画・著書等の作品や、絵本「かいじゅうたちのいるところ」で有名なモーリス・センダックの作品が展示されています。
時期により著名な作家の絵本・漫画の原画展などの企画展も開催。2021年1月24日(日)~3月13日(土)には武井武雄「漫画とペン画展」ほか、「デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉 Morohoshi Daijiro Exhibition」が開催されます。
大正から昭和にかけて活躍した「童画」家 武井武雄の世界にどっぶり浸かる
岡谷市出身の童画家、武井武雄さんをご存じでしょうか。
大正から昭和にかけて、子ども向けの絵雑誌がたくさん刊行され、多くの作家が活躍した時代がありました。その中でも武井武雄は「童画」という言葉を生み出し、“子どもの心にふれる絵”の創造を目指して「童画の世界」を確立しました。
名前は知らずとも、館内の展示を見ていると、どこかで触れたことのあるような、懐かしい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。レトロな雰囲気をそこかしこで楽しむことができます。
館内には、ほかにもモーリス・センダック作「かいじゅうたちのいるところ」の原画など、国内外の絵本作品が展示されています。1階にはミュージアムショップ・カフェのほかに、約2,000冊の絵本が集められた絵本ライブラリー「はらっぱ」があり、こちらは入館料を払わなくても入場することができます。
企画展関連ワークショップも開催。
今回は絵本ライブラリー「はらっぱ」を会場にして開催されたワークショップ「武井武雄作品ビーズ刺繍(初心者向け)」に参加してきました。
当日の参加者は私を含めて10名程。3時間で鳥モチーフのブローチ完成を目指します。このビーズ刺繍講座はイルフ童画館企画のなかでも人気企画のようで、すでに何度か開催を重ねているのだとか。
講師の先生の手ほどきを受けつつ、ときにはおしゃべりしながら、ときには黙々と…。それぞれの手元に集中して一針一針刺繍していく時間は、とても贅沢で豊かな時間でした。ビーズ刺繍、きちんと先生に教わってやるのは初めてだったのですが、少しずつ完成が見えてくる感じがしみじみうれしいです。
普段は仕事や家事に追われて自分の時間を持つことがなかなか難しいのですが、刺繍をしている間、無心で自分の時間に没頭していられるのが幸せでした。忙しい家事の合間のご趣味に、手芸、なかなか良いかもしれませんよ。
ちょっと恥ずかしいですが、ワークショップを終えた時点の完成品もご披露しましょう。こちらです!
刺繍部分は完成しています。我ながらなかなかの出来です。本当は裏面にブローチ金具を貼り付けて、周囲をぐるっとビーズで囲ってあげて完成!なのですが、そこまでは至らず。おうちに持ち帰っての宿題となりました。でも、大満足です。
併設のカフェラムラムもおすすめ!
イルフ童画館併設のカフェラムラムもぜひご紹介したい穴場カフェです。ゆっくりくつろげるテーブルセットが心地よい、落ち着いた雰囲気の店内。武井武雄が愛した珈琲の配合を再現したオリジナルブレンドコーヒーをご賞味あれ。
私はフォカッチャと合わせていただきました。
こちらのフォカッチャ、なんと100円!! 驚きのお値段です。生地の小麦粉にこだわり2種類の粉を使っている完全自家製フォカッチャは、外はサクっとしていて中はモチモチ。小麦の良い香りがふんわり漂います。
そのまま食べるもよし。オリーブオイルを貰ってちょっとつけながら食べるのもおすすめです。
写真にご注目ください。オリジナルの紙製コースターが2枚あります。これ、「お土産にどうぞ」と1枚多く出してくださるんだとか。このコースターを収集すべく、通うことを心に決めたのでした。
マグカップはイルフ童画館オリジナル。ミュージアムショップで販売もしています。描かれたイラストは武井武雄が1926(大正15)年に発表した童話「ラムラム王」の主人公であるフンヌエスト・ガーマネスト・エコエコ・ズンダラー・ラムラム王。
実は、イルフ童画館周辺には至るところにラムラム王が隠れています。童画館の象徴であり、武井自身ともいえるのかも。イルフ童画館に訪れたら、ラムラム王探しも楽しんでください。
「イルフ」は古い(フルイ)の逆さ言葉=新しい!
さて、イルフ童画館の次回企画展は2021年1月24日(日)~3月13日(土)まで開催の「デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉 Morohoshi Daijiro Exhibition」です。「武井武雄 漫画とペン画展」との同時開催とのこと。
「諸星大二郎展」は、北海道立近代美術館から北九州市漫画ミュージアムまで全国5会場を巡るもので、会期中に展示替えもあるような規模の展覧会です。「粘土でオオナムチをつくろう」、「諸星漫画ファンの集い」などと題された、関連イベントやワークショップも今からとても楽しみです。
「イルフ童画館」の「イルフ」は武井武雄氏が作った造語なのだそう。意味は、古い(フルイ)の逆さ言葉で「新しい」! イルフ童画館は館名の通り、新鮮な驚きと感動にあふれる場所でした。
ライター:石田 名保子40代、ワーママ、一児の母。自然豊かな環境と都市の便利さが絶妙に交じり合う、諏訪市に魅力を感じて家族で移住してきました。 |