スキーシーズン真っ最中の車山高原SKYPARKスキー場に行ってまいりました! スキーをしにきたわけではありません。
年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめる旅行のあり方を目指す「ユニバーサルツーリズム」の体験ツアーにお招きいただいたのです。
今回は、車椅子ユーザーの方とリフトに乗り、車山山頂の絶景を楽しむ企画です!
絶景、楽しみだな〜〜〜〜!!!
……
絶景、楽しめるでしょうか(汗)。ハラハラしながらのスタートです。
誰をも受け入れる、心のバリアフリーを
まずお話を伺ったのは、車山高原SKYPARKリゾート執行役員で車山高原観光協会会長の山崎恭嗣さん。
「車山高原はすべての場所をバリアフリーにはできていません。段差も多いし、障害者用トイレも一つだけです。
だけど、年齢や障害の有無にかかわらず、どんな人にも楽しんでいただきたいという“気持ち”があります。設備が整うのを待っていては時間がかかってしまいます。まずは心のバリアフリーから。迷惑かな、なんて思わず、困ったときには何でも声をかけてください。
障害のある方も遠慮せずに遊びに来ていただけたらうれしいです。」
車山高原だけではなく諏訪地域全体で、障害や年齢にかかわらず誰でも受け入れるという表明をしていきたいとお話ししてくださいました。
介助する側、される側双方の負担を軽減する
今回ツアーに参加される井出今日我さん。5歳のときに全身の筋肉が萎縮していく難病(筋ジストロフィー)を発症し、小学6年生のときから車椅子で生活しています。
障害者の自立支援に取り組む市民団体「CIL上田Groping」(上田市)の代表としても活動されています。
何やらグルグル巻きにされていますが……井出さんは「あったかいです」とうれしそう。
自分の意思で身体を動かすことができない、座った姿勢を保つことができない井出さんにとって、身体をしっかり固定することは大事なこと。特に首の確保が厳しいため、ヘッドレストは非常に重要なアイテムなのだそうです。
ミノムシスタイルでリフトへ。けん引式車椅子補助装置の「JINRIKI」を使って移動します。軽い力で車椅子を引くことができ、雪道や急な坂道でも使えるという優れもの。
私も引かせていただきましたが、想像以上に簡単に引くことができました。前輪が浮くので、少しの段差なら軽々乗り越えられます。
介助する側もされる側も、身体の負担を軽減する器具が出てきているんですね!
リフト乗り降りの際には、車山高原スタッフの方がリフトを一時停止してくれます。
スノーシーズンの絶景を車椅子で!
絶景見れるかなぁと不安を抱えつつ、スカイライナーリフトを登ったところで奇跡が!!
なんと井出さんが降り立ったタイミングで雲が切れて、このような景色が見れました。きれい〜!
TVロケ中の松山三四六さんにも遭遇! 記念に写真撮影していただきました◎
山頂を目指し、スカイパノラマリフトへ。
まっしろしろです…。
山頂で記念撮影。「ピーカン」って(笑)。晴れていたらさぞフォトジェニックなポイントなのでしょう。
2020年12月に完成したばかりの「車山SKY TERRACE(スカイテラス)」にも行きましたよ!
リフトから「車山SKY TERRACE」までの道のりは、また「JINRIKI」が大活躍。雪のため4人がかりで慎重に移動しましたが、雪のない時期はもっと楽に移動できそうです。
広々としたテラスにはスロープが設置されていて、車椅子でも動き回ることができますよ。
晴れていれば八ヶ岳、富士山、南アルプスが一望、360°パノラマビューが満喫できる「車山SKY TERRACE」ですが、この日は真っ白。
まあこれはこれで冬山の景色ということで〜なんて話をしていたら、また奇跡が!
雲と雲の間に光がさし、上下ダブル雲海が見れました!! 車山に行かれる際は、お天気が悪くてもあきらめず、少し待ってみてもいいかもしれません。
ゲレンデはこの景色! 気持ちよさそう。
ちなみにお天気がよければこんな景色がみれるそうですよ。晴れている日にもぜひ行ってみたい!!
旅をあきらめない。できることではなく、やりたいことを。
リフトを使って下山。スキー場のリフトで下山するのは初めてだ、と思っていましたが、考えてみれば夏は普通にリフトで下山しますよね。
私たちの他にも小さい子連れのファミリーがリフトで下山していました。スキーやスノボができなくても、スキー場は楽しめる!
食事は車山高原のメインレストラン「スカイプラザ」で。
「JINRIKI」は階段でも使えます。普通の車椅子にパッと装着するだけなのに……素朴な見た目とは裏腹に、かなりすごいやつです。
ゲレ食といえばカレー!! 2種類相がけ無料ということで、オリジナルカレーとグリーンカレーをかけてもらいました。
井出さんに感想を伺うと「1年ぶりにスキー場に来て、きれいな景色も見れて最高でした!」とのこと。
昨年はデュアルスキー(座ったまま滑ることができるスキー)を楽しんだそうです。デュアルスキーなんてものもあるのか!!
ちなみに井出さん、高校2年生のときにはスイスのブライトホルン(4,164m)の登山に挑戦したというチャレンジャー!! 登頂は叶いませんでしたが、4,000mにたどり着いたそう。
「障害を持つ当事者として、いろいろなことに挑戦している姿を発信していきたい。障害者の生き方を広げ、障害者・健常者の区分けのないダイバーシティーな共生社会を実現したいと思っています」と語ります。
最後に今回のツアーを企画したユニバーサルフィールドづくり実行委員会のみなさまをご紹介します。
諏訪地域で介護保険外サービスで外出支援や入浴介助を行う「ユニサポすわ」のお二人。
「あきらめない人生(たび)のお手伝い。できることではなく、やりたいことを」をモットーに障害者や高齢者の旅のサポートやユニバーサルツーリズムの普及活動をされています。
2010年からユニバーサルフィールドづくりに取り組む富士見高原リゾートのお二人。
11年間の中で、障害者がレジャーを楽しむことは「当たり前」になりつつあるそう。
富士見高原リゾート営業企画室の藤田さんは「障害があっても、一部の人は前からレジャーを楽しんでいたんです。でもその姿を見る機会が少なかった。今は障害を持つ当事者が顔と名前を出して、自ら発信するようになってきています。その姿を見て、『じゃあ自分も』と挑戦する方が増えてきている」と言います。
障害を理由にレジャーや日常のいろいろなことを諦めなければいけないという社会は過去のものになるのかもしれません。誰も取り残さない、誰もが楽しめる地域を目指して、諏訪地域も変わりつつあります。
自分や家族、友人に障害があっても旅行やレジャーを楽しみたい! と感じている方、ぜひ車山高原や富士見高原、「ユニサポすわ」に問い合わせてみてください。
車山高原についてのお問い合わせ
TEL 0266-68-2626
MAIL skypark@kurumayama.co.jp
Webサイト
富士見高原についてのお問い合わせ
TEL 0266-66-2121
MAIL info@fujimikogen-resort.jp
Webサイト
ユニバーサル・サポートすわ『ユニサポすわ』についてのお問い合わせ
TEL 090-3558-4502
MAIL yunisaposuwa@gmail.com
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ライター:おいちゃん信州松本生まれ、10歳から東京渋谷育ち。カルチャーショックを受け、小学生にして将来は地方移住することを念頭に生きる。大学卒業とともに縁あって茅野市に移住。諏訪旅1人編集部の編集長。 |