「バッハが弾いた?幻のチェロを追って」ムジカ・ロゼッタ古楽コンサート、原村の教会に響き渡るヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ

みなさんは5本の弦を持つチェロをご存知ですか? 弦楽器と聞いてパッと思い浮かぶヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどの楽器は通常4本の弦で構成されています。しかし18世紀のバロック時代、ドイツで活躍し“音楽の父”と呼ばれたヨハン・セバスティアン・バッハの楽曲には、5本目の弦を必要とする作品が複数見受けられたという謎があるんです。

バッハがいくつかの楽曲で指定した5本の弦を持つチェロの正体は?

実は、バッハの伝記を書いた18世紀の著名な音楽学者であるヨハン・ニコラウス・フォルケルが1872年に残した文章にその正体が明かされていました。そこには、ヴィオラとチェロの中間の音域を演奏できる楽器を必要としたバッハが、「ヴィオラ・ポンポーサ」と呼ばれる楽器を創造したと記載されていたのです。

「ヴィオラ・ポンポーサ」とは、チェロと同じ調弦でありながら、高音側に5弦目が追加されていてヴィオラよりも少し大きく、ベルトを肩に回しかけて演奏ができる楽器。このころバッハが非常に親しかった弦楽器製作家ヨハン・クリスティアン・ホフマンによって1724年に製作されたものと一致し、現在もブリュッセルの博物館に収蔵されています。

有名な「無伴奏チェロ組曲 第6番」にも、5本の弦を持ったチェロのためにという指定があったり、カンタータのアリアでも「ヴィオラ・ポンポーサ」を指定しているものもあるそう。さらに、最新の学説やバッハの交友関係などの検証から導いたひとつの可能性として、この「ヴィオラ・ポンポーサ」が、現代における「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」と類似していると近年注目が集まっています。

ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ

「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」の隠された歴史を追うトークコンサート開催

そんな「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」の隠された歴史について語り、演奏する「ムジカ・ロゼッタ古楽コンサートvol.28 バッハが弾いた?幻のチェロを追って」が長野県の原村にて開催されます。八ヶ岳山麓でコンサートやワークショップなどの活動をしているムジカ・ロゼッタさんによって行われるこの公演は、「ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ」を研究・演奏している弦楽器奏者の天野寿彦さん、同じく演奏家の丹沢広樹さん、そして今回演奏会で使用するスパッラを製作した弦楽器製作家の高倉匠さんを迎えて、演奏家と製作家双方の視点からさまざまな解説を交えながら行われるトークコンサートです。

至高の無伴奏チェロ組曲やカンタータで指定された5弦のチェロの正体とは? バッハの友人J.C.ホフマンがつくった肩掛けチェロとの関係は? ミステリアスな歴史から見るバッハ時代のチェロ像を楽曲から再考察するこのコンサート。楽曲は、バッハが5弦チェロを指定したカンタータのアリアを中心にお届けします。

森のなかに静かに佇む教会で、現代に蘇った小さなチェロの響きにひたってみませんか?

[ムジカ・ロゼッタ古楽コンサートin八ヶ岳vol.28 バッハが弾いた?幻のチェロを追って]

開催日
2023年9月23日(土)
時間
14:00〜(開場=13:30)
場所
八ヶ岳中央高原キリスト教会(長野県諏訪郡原村1077-142)
料金
前売り一般=3,500円、前売りペア=6,500円、学生=1,500円、小中高生=無料、当日券=4,000円
お問い合わせ/ご予約
ムジカ・ロゼッタ(TEL=070-4430-0666
詳細ページ
https://musicarosetta.com/
               

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