約1,000点もの所蔵作品を持つ北澤美術館
諏訪湖のほとりに佇む北澤美術館。1983年に開館して以来、東山魁夷や山口華楊など1960年代以降の現代日本画を中心にコレクションをはじめ、その後19世紀末フランスのガラス工芸家エミール・ガレとドーム兄弟、20世紀初頭のルネ・ラリックとパート・ド・ヴェール作品などを収集しました。
そして現在は、アール・ヌーヴォーからアール・デコのガラス工芸を専門に収集展示を開催。世界的にも貴重な作品を含め、約1,000点もの所蔵作品を持つユニークな美術館として国内外に知られる存在となりました。
そんな北澤美術館にて、2025年度の特別展として来年の3月10日まで企画展が行われています。20年振りに日本で開催される「2025年大阪・関西万博」にちなんで、万国博覧会への出品作を中心にガレの活動を振り返る「万博博覧会のガレ」です。
アール・ヌーヴォーの先駆者となったガラス工芸家
エミール・ガレは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に流行したアール・ヌーヴォーという芸術様式の先駆者。アール・ヌーヴォーの特徴は花やツタなど植物をもしたモチーフや曲線的な装飾です。
園芸愛好家で植物学者としても一家を成したガレは、生命の躍動を伝える表現を求めてこのデザインに辿りつきました。また、ガレの作品には、当時ヨーロッパで流行したジャポニズムの影響もうかがえるため、どことなく日本の趣も感じることができ、親しみのある作品となっています。
ガレの作品を通して遡る万博博覧会の歴史
そんなガレの出身でもあるフランス・パリでは、1855年から1900年までの間に5回の万博が開催。ガレは、草花や昆虫など自然のモチーフをデザインに取り入れた作品で、1889年と1900年のパリ万国博覧会でグランプリに輝いています。
今回の企画展では、ガレの万国博覧会出品作である、花形ランプ「アイリスのつぼみ」、蓮花文小花瓶、古代エジプト文筒形花瓶をはじめ、良きライバルとして競い合ったドーム兄弟による万博出品作も展示されますのでお楽しみに。
万国博覧会とガレとの歴史を学んで肌で感じ、アール・ヌーヴォーの世界に触れられる北澤美術館。ぜひ会期中に足を運んでみてください。
[北澤美術館 万博博覧会のガレ]
- 開催期間
- 2025年3月22日(土)2026年3月10日(火)
- 時間
- 4月〜9月=9:00〜18:00、10月〜3月=9:00〜17:00
- 場所
- 北澤美術館(長野県諏訪市湖岸通り1-13-28)
- 料金
- 大人=1,000円、中学生=500円、小学生以下=無料
- 詳細ページ
- https://kitazawa-museum.or.jp/exhibition/article.php?post_id=5074