☑80年前、日本で初めてホップがつくられたのは八ヶ岳南麓でした!
☑ホップ農家さんを突撃取材!ホップの秘密を探ります!
☑人生で初めて見た!高さが6mにもなるホップのカーテン!
八ヶ岳がビールの聖地ってご存知でしたか?
実は八ヶ岳山麓は、ビールの原材料として欠かせないホップ名産地だったんです。
約80年前、日本で初めてホップが栽培されたのは、八ヶ岳南麓にある山梨県北杜市でした。キリンビールの契約栽培地としてスタートした長坂には、『ホップ栽培発祥の地』の石碑が建っています。
裏面には由来が書いてありました。要約すると、「1939年、ホップは輸入に頼っていたが国内外の情勢が悪化したため、国内生産で確保することになった」とのこと。
晴天率が高く、冷涼な気候がホップ栽培に適していたのですね!
僕が『ビールの聖地』と感じているのは、ホップの生産地という理由だけではありません。
八ヶ岳周辺や、お隣り伊那市まで含めると7つのブルワリーがあり、趣向を凝らしたクラフトビールを醸造しています。
どうです? ビール好きには堪らない場所じゃないですか?
のだオバさん(僕)は、ドイツやオーストリアに行ってからビールが大好きになりました。
そんな僕が、3回に渡ってビールについて書いていきたいと思います。
まずは、ビールの個性や特徴が決まるという大切な『ホップ』についてです!
調べてみると、単にビールの苦味や香りを出すだけでなく、泡の形成に関わっていたり、殺菌作用で保存効果を高めたりしているそうです。
また、ハーブの一種であるホップは、鎮静効果があり不眠改善に良いと言われています。すごいじゃんホップ! という事で、八ヶ岳南麓にある『ホップ農家 小林』で、あれこれ伺ってきました。
ホップってどうやって育つの?農園を訪れてみた
『ホップ農家 小林』は、八ヶ岳を望む山梨県北杜市高根町にあります。
こちらは、ホップ農家を家族経営している小林吉倫(よしとも)さん30歳。
埼玉県出身の小林さんは、大学でバイオを研究後、東京の広告や水質浄化の会社で働いていました。転機が訪れたのは約6年前、農業をしたいと北杜市に移住を決めた父親に共感し、ホップを栽培することになったそうです。
それにしても数ある農作物の中で、なぜホップだったのでしょうか? その辺りも伺ってみたいと思います。
こんにちは! ホップのことを勉強させてください。よろしくお願いします! |
こちらこそ、よろしくお願いします。では、実際にホップを見にいきましょう!私たちは約20種類のホップを1.5ヘクタールの畑で育てています |
おーーー! 高っ! これがホップなんですね! |
ホップはアサ科の蔓性の多年生植物です。3月〜4月にかけて土から新しい芽が出ると、どんどん蔓は伸びていき、6月には高さが6m〜8mまで成長します |
そんな短期間で! すごい生命力ですね! |
7月〜8月にかけて花が咲きます。こちらのイソギンチャクみたいなのが花です |
へー! この花が散った後に、実ができるんですか? |
いえ、ホップは実ではなく、花の一部が肥大化したものなんです |
マツボックリのような形をしていることから、“球花(きゅうか)”“毬花(まりはな)”とも呼ばれています |
そーなんですね! 知らなかったです! |
採れたてホップの匂いを感じてみてください |
では、失礼して |
おーーー! ビールじゃないですか! 良い香り〜爽やかな柑橘系の香りですね! |
はい! 種類によって香りは違いますが、『かいこがね』でしたら柑橘系オレンジ、『信州早生(しんしゅうわせ)』でしたらレモングラス、『カスケード』でしたらシトラスといった感じです |
そっか、ビールによってこのホップを使い分けているんですね! あー良い香り〜なんかすごく癒されてきました〜♪ |
ホップはハーブの一種で、西洋では昔から民間薬として使われていました。安眠や癒し効果、女性ホルモンにも良い影響があると言われています。ホップ農家の女性は肌がキレイになるっていう噂もあります |
ま、まじっすか? 最近はお肌が荒れているんですよ…食べて良いですか? |
…えっ? このままいきますか? かなり苦いですよ |
はい! 癒し効果も欲しいので。いただきます! |
うん!? そんなに苦くは… |
めっちゃ苦い!!! 苦すぎてストレスで肌荒れるわ!…生で食べるのはオススメしないですね |
でしょうね…動物もホップの花は食べないくらいなので。乾燥させてハーブティーにするのが良いと思いますよ |
なぜホップを栽培することになったのか?
ホップの良さが分かってきたところで、気になったのはこのマイナーな植物を育てようと思ったキッカケです。ビールが好きで始めたのか? 楽に育てられるのか? それとも儲かるのか? 伺ってみました。
小林さん! なぜホップを栽培することになったのですか? ぶっちゃけ儲かるんですか? |
いえいえ、ホップを育てるのにはコストと労力がかかります。専用の設備が必要ですし、ちゃんと花が咲く“株”になるまで5年もかかりました |
えっ!? 初めて収穫するまで5年もかかったんですか! それは大変ですね…。“株”ってどういうことですか? |
今、土の上に見えているのはホップの蔓と花です |
この地中には太さ約40cmの株があり、根っこは半径3m、深さ7mにも及びます。しっかりとした株が育つと、地上に蔓が伸びてホップの花を咲かせます |
初めて知りました! ホップってそういう植物だったんですね! |
私たちは安心安全で最高のホップをご提供したいので、自然に近い環境をつくり減農薬で育てています。そうすると虫害も出てきます。こちらは蔓を切られたため枯れてしまいました |
…確かに、茶色くなっていますね。どんな虫ですか? |
皆さんがよく知っている虫ですよ。探してみてください |
えっと…てんとう虫…かな? |
蔓をじっくり見てみると…
えっ!? クワガタ? まじっすか!!! |
はい! ノコギリクワガタです。蔓を切って樹液を吸うんです。こちらが切られた場所です |
うわー無残…。僕が子どもだったら、めっちゃテンション上がりますけどね…ホップ農家さんにとっては迷惑なんですね。よっぽど樹液が甘くて美味しいんでしょうか? |
私もクワガタの気持ちになって、1回舐めてみたのですが…すごく苦かったです(笑) |
チャレンジャーですね〜(笑) |
国産ホップ『かいこがね』を後世に残したい!
話を伺っていると、ホップ栽培は大変そうなのに、なぜ選ばれたのでしょうか? |
理由はいくつかあります。移住先になった北杜市の風土に合うものをと調べましたら、過去にホップの一大生産地だったことが分かりました。しかし、国内品種第一号『かいこがね』の発祥地でありながら、ホップ農家さんが減り、この北杜市から消えかかっていました。この地域の文化を残したいというのが一つの理由です |
もう一つの大きな理由は、マイクロブルワリーが国産ホップを入手することが困難な点です。国産のほとんどは、大手ビールメーカーとの契約栽培のため市場に出回りません。国内で使われているホップの90%以上は、アメリカやドイツなどからの輸入に頼っています。マイクロブルワリーに国産ホップを使っていただきたいと思っています |
そんな熱い思いがあったんですね! |
それから国産ホップの良さも広げたいので、月の半分くらいは技術指導で全国を回っています |
小林さんのお話を伺っていると、数年後には、クラフトビール業界は様変わりしているのではないかと感じました。クラフトビール好きとしては、全国各地で国産ホップを使ったクラフトビールが飲めたら楽しいですよね。ワクワクしてきました!
次回は、高さ6mに伸びたホップの収穫や、選別、乾燥などの工程とともに、小林さんのホップで使った美味しいクラフトビールをご紹介します!
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のだオバさん。放送作家。夢で「諏訪大社に行け!」と言われたのを真に受け、長野県茅野市に移住^_^余所者の目線を通して、諏訪・八ヶ岳エリアの魅力を発信!花好きから「あいつオジさんのくせに、オバさんっぽいな」と言われ『のだオバさん』に…。天然の妻・フリーアナウンサー谷岡恵里子は相当ヤバい(笑) |