長野県諏訪市の『仏法紹隆寺(ぶっぽうしょうりゅうじ)』は大同元年(806年=1214年前)に征夷大将軍坂上田村麿が諏訪大明神へ戦勝報告の際に開基されたと伝わる高野山真言宗のお寺です。開山当初から諏訪大社社務を務め、江戸時代には諏訪高島藩の祈願寺を務めました。
その仏法紹隆寺で9月15日〜21日の1週間、大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)、通称「聖天(しょうてん)様」のご祈祷が行われます。諏訪頼忠公の時代から約400年間、一度も途絶えることなく続けられている歴史あるご祈祷です。今年はオンラインでの受付も行うとのこと。
聖天様って? どんなご祈祷をするの? オンラインでどんなことができるの?
ご住職の岩崎 宥全さんに聞いてきました。
叶えられない願いはない?! 聖天様とは
聖天様とは、ヒンドゥー教の神「ガネーシャ」が十一面観音さまの法力により仏教に取り入れられたもの。象の頭を持ち、人間の体を持つ男女の神様が抱き合い歓喜する姿になっている…らしいのですが、「秘仏」のため直接姿を見ることはできません。
仏法紹隆寺の聖天様は「七福即生」と言われ、
・「増財和楽の福」財産が増え、喜びがやってくる
・「良縁成就の福」よい縁に恵まれる
・「子孫繁栄の福」一族が繁栄する
・「知恵の福」知恵がいただける
・「除病の福」病気を避けることができる
・「商売繁盛の福」仕事に恵まれる
・「敬愛の福」人々から敬い愛される
という7つの福が訪れるとされています。
強い……
至心に祈る 過酷な1週間
すべての願いを叶えてくれそうな聖天様ですが、もともとヒンドゥー教の破壊神「シバ」の息子とあって激しい気性をお持ちのようで、至心に(心から)拝まなければ、かえって災いをもたらすと言われているそう。
ご祈祷中の1週間は
・他の仕事は一切しない(法事やお葬式といった供養事もなし。お寺から出ない。外部と連絡とらない。)
・午前2時、午前10時、午後4時の3回、各2時間のご祈祷を毎日。
・食べ物は聖天様にお供えしたもののお下がりのみ。(お香の香りがたっぷりついた大根、日本最初のお菓子と言われる「歓喜団(かんぎだん)」など…)
といった過酷な生活。。昨年は4キロ痩せたとか。ひええ。
また一度聖天様を拝み始めたら、途中でやめることは許されず、住職である限りご祈祷を続けなければならないとのこと。
そのため聖天様を祀っているお寺は多いものの、聖天様を拝むお寺は全国でも数えるほど。長野県では仏法紹隆寺の他1~2あるかないかくらいとのことです。
今年はご祈祷をオンラインで受付。期間中の生配信も。
そんな聖天様のご祈祷、今年はオンラインでのご祈祷受付を始めます。9月15日〜21日のご祈祷期間中、お堂の中で撮影する動画のライブ配信も予定。
聖天様も「秘仏」ですがご祈祷も「秘法」であり、拝んでいる姿は公開されませんが、幕の中でご祈祷している様子や、お名前を読み上げる声を聞くことができます。
配信スケジュールは下記。
9月15日 18:00
16日 2:00 10:00 16:00
17日 2:00 10:00 16:00
18日 2:00 10:00 16:00
19日 2:00 10:00 16:00
20日 2:00 10:00 16:00
21日 2:00 10:00
2時〜は沐浴などを行ってから座につくため、ご祈祷が始まるのは2時半くらいからとのこと。
ちなみにこの時間帯以外の時間も「神供(じんく)」というご祈祷を行っていて、本堂の縁側で神々に供物を捧げるそう。神々(太陽や月、木など自然に宿る神、イメージとしては精霊のような感じだそうです)は仏さまに恐れをなして本堂には入らないんですって。
オンライン申し込みをすると、ご祈祷したお札に御朱印を添えて後日自宅まで届けてくれます。
約400年続くご祈祷をオンラインで受付という古くて新しい取り組み。現代のニーズに寄り添いつつ、ご祈祷の本質は全く変わっていません。
ご祈祷のお申し込み・詳細はこちらのページをご確認ください。
▶︎令和二年 聖天祈祷 諏訪の夢を叶えるゾウ <鼈澤荘厳山 佛法紹隆寺(高野山真言宗/長野・諏訪)>
9月15日〜御祈祷始まりました! こちらから見れます↓
https://www.youtube.com/watch?v=cMDFbjCD-aE&feature=youtu.be
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