諏訪のお殿様の夢を叶えるゾウ~(仏法紹隆寺)

☑️ガネーシャは仏教に取り入れられた!!
☑️聖天さまの大恋愛の物語
☑️どんな願いも叶える仏さま

最強にして究極のご利益『大聖歓喜天』しょうてんさまのお話し

2008年テレビドラマになりました『夢をかなえるゾウ』
なんとなく覚えている方もいるのではないでしょうか?
あのドラマに出くる象の頭をした『ガネーシャ』という神さまをご存知ですか。そのガネーシャは仏教の仏さまでもあるんですよ!

ヒンドゥー教の神であったガネーシャは仏さまに帰依をして仏教に取り入れられます。
その名は『大聖歓喜天~だいしょうかんぎてん~』通称『聖天さま』です。
聖天さまは『密教最後の方便』といわれる仏さまで、この仏さまに願い事をして叶わないことは無いといわれる方。しかし、気性は荒く至心に(こころから)拝まなければ、かえって災いをもたらすとまで言われています。

私が住職を務める仏法紹隆寺でも、聖天さまは祀られております。

聖天さまが祀られている聖天堂。

年に1回、祈願祭にしか開かないお堂(毎年9/15〜9/23)

大恋愛の物語

お姿も独特で、象の頭を持ち、人間の体をもつ男神と女神が抱き合いよろこびあう姿となっています。これは、聖天さまの説話に由来します。

暴悪の限りを尽くす聖天さま。すさまじい力で暴れまわっていた時、ある美女に恋をします。その美女は聖天さまの心を受け入れません。
しかし、ある時、美女は言います。
「仏教を守護する仏となり、信じる者たちの願いを叶えるために一所懸命に働くのであれば、私はあなたのものになります・・・」と。
実は、その美女は聖天さまの悪事をみかねた観音様だったのです。
そして、聖天さまは今までのすさまじい力を人々の願いを叶えることに使う、密教最強の現世利益の仏さまとなりました。
そして、そのお姿が象の頭をし、人間の体をした男女の聖天さまが抱き合い、歓喜(心からよろこぶ)する姿となっているのです。
秘仏のため写真は出せませんが…

正面の大きな厨子の中には前立本尊の観音様。朱色の厨子の中の筒の中に聖天さま。仏法紹隆寺の前立本尊は聖観音となっており、諏訪高島藩主の念持仏であったものです。

拝み方も独特

聖天さまのお供えや拝み方も独特です。
最極秘の法となっていますので、詳しくは書けませんが、聖天さまの説話に沿ったお供え物をします。聖天さまは大根に似た食べ物を食べ、ソーマ酒というお酒を飲み、お団というお菓子を食べ(その他諸々・・・)あぶらを全身に浴びて人々の願いを叶えに行ったといわれ、大根、日本酒、清浄歓喜団(日本最初のお菓子)などをお供えして、お像にあぶらをかけて拝みます。

聖天さまへのお供え物

成田山新勝寺の近くにある『かめや利平』でつくられた清浄歓喜団。

拝むお坊さんも必死です。精進潔斎し、世の中の不浄から離れ、真夜中からご祈祷が始まります。仏法紹隆寺では、午前2時、午前10時、午後4時の三回拝み、食べ物は聖天さまと同じもの。聖天さまのオサガリをいただきます。そして、お寺なのに供養事は一切せず、ご祈祷のみ行います。その間、お寺からも出ません。
そんなご祈祷を一週間。昨年は4キロほどやせました。これも功徳の一つでしょうか。

ご祈祷する1週間は、一座2時間を1日3回。

ご利益は七福即生

ご祈祷を続ける事一週間。そのご祈祷を終えると、信者さんにご祈祷札をお渡しします。一枚一枚、願主(願った人の名)を書き、七つの福がすぐにやってきますようにと祈りを込めます。

仏法紹隆寺の聖天さまの七福は

・「増財和楽の福」財産が増え、喜びがやってくる
・「良縁成就の福」よい縁に恵まれる
・「子孫繁栄の福」一族が繁栄する
・「知恵の福」知恵がいただける
・「除病の福」病気を避けることができる
・「商売繁盛の福」仕事に恵まれる
・「敬愛の福」人々から敬い愛される

といわれています。欲望のほとんどが叶ってしまいそうです。

さて、そんな聖天さま。昨今のコロナ禍の退散のために、4月26日、一日三座の祈りを捧げました。
「除病の福」が皆様に訪れますようにと。

現在、期間限定で「疫病退散」の御朱印もお書きしています。

歓喜天の御朱印 300円

この御朱印のハンコは「丸に梶の葉」そう、諏訪高島藩主の紋です。
実は、仏法紹隆寺の聖天さまのご祈祷は、諏訪のお殿様のご祈祷でもあったのです。
お殿様と聖天さまのお話しは次回に・・・
次回『あの人も祈っていた!? 諏訪と聖天さま』です。

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文化芸術

ライター紹介 岩崎宥全

諏訪生まれ。中学卒業後に諏訪を離れ高野山にて修行をしておりました。
平成14年諏訪に戻り、現在は仏法紹隆寺第三十九世住職を務めると共に、開敷院、金乗院というお寺の住職もしています。
趣味は仏像拝観。仏教の諏訪信仰の解説や諏訪の歴史講演なども行っています。また「空海散歩」(筑摩書房)という法話全集の執筆にも参加しております。
諏訪の歴史・文化について皆様にお伝えできればと思います。

https://buppou-syoryuji.jp

SPOT INFORMATION

鼈澤山 仏法紹隆寺(べったくさん ぶっぽうしょうりゅうじ)

現在でも、仏教の「諏訪大明神」を祀り、いにしえの神仏習合の息吹を伝えるとともに、諏訪家や諏訪高島藩との深い関わりからもたらされた数々の宝物、信州の真言宗寺院の中核であった歴史より伝えられた書籍、古文書、法具など多くの文化財、四季折々の移ろいを色濃く映し出す「名勝庭園」を有する「諏訪の歴史を肌で感じられる」寺院です。
諏訪市の天然記念物に指定されている樹齢200~300年の2本の大イチョウ。裏にある庭園の紅葉も見事です。 また、春には参道が桜色に彩られます。

仏さまの諏訪信仰のお寺ぶっぽうじ「仏法紹隆寺」

住所
諏訪市四賀桑原4373
電話番号
0266-52-2241
営業時間
9:00~16:00
定休日
月曜日(祝日の場合は翌日)
仏教の諏訪大明神や宝物は予約拝観
交通
電車:JR上諏訪駅下車 タクシー13分、JR茅野駅下車 タクシー13分 自動車:中央自動車道諏訪ICより8分
詳細ページ
https://buppou-syoryuji.jp/
               

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