「時計工房 儀象堂」と「星ヶ塔ミュージアム 矢の根や」からなる長野県・下諏訪町の観光施設『しもすわ今昔館おいでや』。
今回は2020年で発見100周年となる「星ヶ塔遺跡」の黒曜石などを展示している「星ヶ塔ミュージアム 矢の根や」をご紹介します。(「時計工房 儀象堂」の記事はこちら。)
「星ヶ塔ミュージアム 矢の根や」は、『しもすわ今昔館おいでや』のエントランスから入って中庭の奥、水運儀象台の裏にあります。
縄文時代、諏訪は黒曜石の一大産地だった!
入り口から入ると、床にドーンとこの図が描かれています。
諏訪地域を真ん中として、およそ半径250kmの範囲に諏訪産(諏訪原産地郡とよばれる)の黒曜石が運ばれて利用されていたことがわかっているそう。
遠いところだと北海道福島町の館崎遺跡、青森県青森市の三内丸山遺跡でも諏訪原産地郡の黒曜石が出土しているとのこと。
縄文人、めちゃ交流している…そして諏訪の黒曜石が広範囲で人気だったことがわかります。
展示ではさまざまな黒曜石の特徴などが説明されています。黒曜石って一種類じゃないんですね。
おもしろかったのはこのパネル。「星ヶ塔」という素敵な名前の由来について。
「江戸時代の人々は黒曜石のことを夜空に輝く星のかけらと考えて『ホシクソ』と呼んでおり」
…もうちょっと良い呼び方あったのでは?笑
星ヶ塔遺跡の場所はというと、下諏訪町の市街地から13kmほど離れた標高およそ1400~1500mくらいの山の中。
江戸時代、この地域は山仕事などで人が行き来する山道の峠だったのだそう。
そんなわけで江戸時代からここに黒曜石がゴロゴロしていることは知られていたのだけど、遺跡として発見されたのは大正時代。
1920(大正9)年、考古学史上著名な研究者、鳥居龍蔵さんが調査したことにより黒曜石の採鉱場が発見されたのです。
発見100周年記念企画展 開催中
1920年に発見されたということで、星ヶ塔遺跡は2020年で発見100周年!
館内2階で記念企画展が開催されています。撮影禁止のため写真でご案内できませんが、黒曜石でつくった石鏃(やじりetc)など、大変興味深かったです。あんなにちっちゃいものを石で叩いてつくれるものなんだろうか…
あとは青森県の三内丸山遺跡で出土した黒曜石が5000年ぶりに里帰り。土器も展示されています。5000年前、人々が確かに生きていたという証を目の当たりにしてジーンとします。
諏訪地域唯一の前方後円墳「青塚古墳」
2階のテラスからは諏訪地域唯一の前方後円墳である「青塚古墳」も見ることができます。
青塚古墳も謎が深そうすぎる…別途取材したいと思います…!
帰りは足湯でひと休み、も。
時計の歴史を追い、縄文の世界へ。見どころ満載で頭も身体も疲れた〜という方は、本館入り口横の足湯をどうぞ。
手ぬぐいのレンタルは休止中ですが、館内でタオルを購入することができます。
外に開かれているので、足湯だけ立ち寄るのもいいですね。
雨降りの中での訪問でしたが、半日まるっと楽しめました!
観光の方もですが、地元の方こそおすすめなスポット。修学旅行生に混じって時計と縄文、そして下諏訪町の奥深さを学ぶ時間でした。
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ライター:おいちゃん信州松本生まれ、10歳から東京渋谷育ち。カルチャーショックを受け、小学生にして将来は地方移住することを念頭に生きる。大学卒業とともに縁あって茅野市に移住。諏訪旅1人編集部の編集長。 |