こんにちは、諏訪旅編集長のおいちゃんです。
突然ですが質問です! 下記の映画・ドラマ作品の共通点はなんでしょうか!
『いま、会いにゆきます』『八日目の蝉』『永遠の0』『Fukushima50』『テルマエ・ロマエⅡ』『それでも、生きてゆく』『ひるなかの流星 』『ゴーイングマイホーム』『忍びの国』『岸辺露伴は動かない』『約束のネバーランド』『スパイの妻』『砕け散るところを見せてあげる』
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正解はーーー
「諏訪地域でロケが行われている」です!
あの芸能人やあの映画監督が諏訪地域に滞在していたと考えるとミーハーな私はちょっとうれしくなってしまうのですが、そもそもなぜこんなに諏訪地域でロケが行われているのでしょうか。
映画やドラマのロケーション誘致活動をしている「諏訪圏フィルムコミッション」の宮坂洋介さんにお話を伺いました。
年間220件以上の問い合わせを獲得
ーー今日はよろしくお願いします。「フィルムコミッション」という名前は聞いたことがあるのですが、具体的にどんな活動をされているんですか?
「ロケ」という言葉がありますよね。ロケーションの略ですが、映像作品をつくるときに撮影所やスタジオの外で撮影することを指す言葉です。
フィルムコミッションとは、映画やドラマ、CM、ミュージックビデオなどのロケを誘致し、撮影がスムーズに進められるようサポートする非営利団体です。ロケ地の情報提供はもちろん、撮影場所の使用許可をとったり宿泊施設やロケ弁、エキストラの手配をしたりと、ロケに関わるあらゆることを支援します。
2003年に諏訪市で発足し、2006年に6市町村広域をカバーする「諏訪圏フィルムコミッション」になりました。
ーー諏訪地域にはどれくらいのロケが来ているんですか?
2020年はコロナの影響でやや少なかったのですが、だいたい年間220〜230件の問い合わせをいただいています。その中でロケが決まるのが50〜70件ほど。1年の中で120日くらい諏訪地域で撮影が行われています。
ーーそんなに! 諏訪地域がロケ地に選ばれる理由はなんでしょうか。
壮大な自然景観や、昔ながらの趣ある街並みといったロケーションの魅力はもちろん、ロケ隊が利用できる宿泊施設が整っていること、都心から約2時間半とアクセスがよいことなどが人気の理由です。撮影に好都合な条件が整っているんですよ。
私もUターンする前は都内のCM制作会社で働いていたのですが、諏訪地域でのロケがたびたびありました。日帰りのロケとなると、都心から近いことが絶対条件になるので。
ーーそうか、自然や街並みがきれいでも、実際に撮影するとなると、泊まる場所がなかったり行くだけで時間がかかると困りますもんね……。納得です。
諏訪が舞台の作品も
2016年10月公開の『バースデーカード』では、諏訪湖が舞台になりました。当初は架空の街の設定だったのですが、監督の吉田康弘さんが諏訪地域の景色に惚れ込んで台本を変更したんです。フィルムコミッション冥利に尽きる撮影でした。
今年公開された映画『砕け散るところを見せてあげる』も多くの撮影が諏訪地域で行われました。
諏訪圏フィルムコミッションが発足した当初は、地域にフィルムコミッションのことを知っている人がほとんどいない状態でしたが、ロケが増えるにつれて、地域内での認知度も上がってきたと感じています。
地域の方の支えあっての撮影
ーー諏訪圏フィルムコミッションは何人体制で活動されているんですか?
基本的に私1人です。
ーーええ!!! めちゃくちゃ大変じゃないですか。
それなりに大変です(笑)。もともと映画が好きで、映画に携わる仕事がしたかったので楽しいですけどね。
それにロケには、地域の方の協力が欠かせません。特に富士見町の今井建設さんには、ロケ地の整備からロケセットの制作まで多大なご協力をいただいています。
ーー地域の会社や人との関わりも大きいんですね。
早朝に何百個のお弁当をつくってくださる仕出し屋さんや、ロケ場所の掃除などのボランティアに来てくださる方もいます。
朝5時にお弁当を持っていく予定が「やっぱり4時!」とか、予定していた時間内に撮影が終わらないとか、ロケには急な変更が付き物なのでいろいろと大変だと思うんですよ。それでも継続して協力してくださる方々も多くて、本当にありがたいです。
撮影が文化として認められれば
ーー今更なのですが、ロケが行われることで地域にどんなメリットがあるのでしょうか?
まずは経済効果がひとつ。先ほどお弁当が何百個、というお話をしたとおり、映画やドラマのロケのために多くの人が諏訪地域に滞在します。その間に宿泊したり飲食したりするので、ロケ隊が来ること自体に経済効果が見込めます。
2020年度の直接的な経済効果は、約4,160万円でした。2019年度は7,000万円を超えます。
2つ目は、地域のPRですね。映画やドラマを見た方が、ロケ地巡りのために諏訪地域を訪れることがあります。また、監督をはじめ制作スタッフにとっても、諏訪地域が思い出のつまった特別な土地になります。
ーー地域住民としては、知っている場所がスクリーンやテレビ画面に映し出されるのはなんだかうれしい気持ちになります。
ありがとうございます。地域の方々にとっても、地元でのロケが楽しみなことになったらうれしいです。
ーーこれからやりたいことや、目指しているものはありますか?
映画やドラマの撮影が、地域の文化として根付いていけばいいなと思っています。例えば、スポーツイベントのために道路を封鎖することはありますが、映画撮影のために道路を封鎖したいと言ってもなかなかご理解いただけないと思います。
映像作品はエンターテイメントビジネスとして捉えられることが多いと思いますが、時に人の成長を促し、大切な気づきを与えるものでもあります。そして人生を変えるような良い作品は、次の世代にもずっと残っていくものです。
ロケを受け入れることによるメリットもお伝えしていきながら、未来に残る作品づくりのために協力する土壌をつくっていきたいなと思っています。
ーーありがとうございました。
編集後期
宮坂さんによると、一度諏訪地域でロケをした監督・スタッフによるリピートも多いそう。景観やアクセスなどの諸条件が合うことはもちろんですが、宮坂さんの手厚いサポートがあってのことだろうと、キラキラとした笑顔でお仕事について語る宮坂さんを見て思いました。
今年15周年を迎える諏訪圏フィルムコミッション。秋には撮影に協力した映画ポスターや出演者サインのパネル展を岡谷市のレイクウォーク岡谷で開く予定です。また、諏訪地域で撮影された映画のリバイバル上映も企画しているとのことです。
諏訪湖間欠泉センターの2階では常時パネルが展示されていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
諏訪圏フィルムコミッションのFacebookページではボランティアやエキストラの募集をしています。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
ライター:おいちゃん信州松本生まれ、10歳から東京渋谷育ち。カルチャーショックを受け、小学生にして将来は地方移住することを念頭に生きる。大学卒業とともに縁あって茅野市に移住。諏訪旅1人編集部の編集長。 |