2021年6月、長野県原村の農業学校・八ヶ岳中央実践大学校で国産ホップの試験栽培が始まりました!
長野県茅野市のブルワリー・8peaks BREWINGと、山梨県北杜市で国産ホップを栽培する株式会社北杜ホップス、八ヶ岳中央実践大学校がタッグを組み、八ヶ岳産ホップを使用した地ビールを開発するプロジェクトの第一歩です。
うまくいけば数年後には、八ヶ岳を望むホップ畑の傍で、おいしい地ビールが楽しめるかも……。
八ヶ岳は国産ホップの名産地だった
今から約80年前、日本で初めてホップ栽培が行われたのは、八ヶ岳南麓の山梨県北杜市でした。晴天率が高く冷涼な気候がホップ栽培に適していることから、キリンビールが国産ホップの生産地として八ヶ岳南麓を選んだのです。
八ヶ岳がホップの名産地であったことを知り、この地でクラフトビール造りを始めたのが8peaks BREWINGの齋藤由馬さん。
「ビールがおいしくなるシチュエーションがあってこそ、真にうまいビールが飲める」と言う齋藤さんは、魅力的なシチュエーションのひとつとして「原材料の生産地で飲む」ことを挙げています。
そこで知り合ったのが、北杜市でホップの栽培を行っている北杜ホップスの小林さんです。
2社で共同し、2020年には八ヶ岳産ホップ100%使用のクラフトビール「Quocoira Ale(ココイラエール)」を開発。
八ヶ岳山麓をさらなるホップの聖地にしようと模索する中で、八ヶ岳中央実践大学校に使われていない畑があることを知り、今回の試験栽培に至りました。
ホップ生産で地域を盛り上げたい
齋藤さん・小林さんと八ヶ岳中央実践大学校をつないだのは、原村出身・在住の中村洋平さん。
諏訪信用金庫の地域応援ファンドが出資して設立された原村のまちづくり会社「原村アソビゴコロ株式会社」の代表です。
広大なキャンパスで酪農、野菜・花卉(かき)栽培などを行う八ヶ岳中央実践大学校ですが、補助金の削減や学生の減少、新型コロナウイルスの影響による観光客の減少などで経営難が深刻化し、このままでは存続が危ういという事態に陥っています。
成長すると6mほどの高さにまでなるホップは、観光で訪れる人にとっても魅力的な景色になるという中村さん。
「80年間この地で農地を保ち、地域を支えてきた実践大のことをもっと知ってほしい。ホップの栽培と地ビールの開発を機に、実践大に訪れる人が増えたら」と語ります。
今回の試験栽培では、さわやかなレモングラスのような香りが特徴の品種「信州早生(しんしゅうわせ)」を定植。
順調に生育すれば、定植後2〜3週間後に発芽し、9月中旬頃に最初の収穫ができるそうです。
多年草のホップは、一度植えると80年ほど花をつけ続けるといいます。八ヶ岳山麓が国産ホップとクラフトビールの聖地として、長く広く愛される日がくるかもしれません。
八ヶ岳産ホップの香るおいしいビールを楽しみに、今後もホップの生育を見守っていきたいと思います!
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ライター:おいちゃん信州松本生まれ、10歳から東京渋谷育ち。カルチャーショックを受け、小学生にして将来は地方移住することを念頭に生きる。大学卒業とともに縁あって茅野市に移住。諏訪旅1人編集部の編集長。 |