2022年は御柱年。7年ごと、寅と申の年に行われる「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」の年にあたります。諏訪大社最大の神事を前に、長野県諏訪市の公共スペース駅前交流テラスすわっチャオでは、活き活きオンライン講座 「御柱と諏訪信仰」を公開しています。
諏訪市公式YouTubeチャンネル上にアップされる、全10回の講座を、新米移住者ライターにしてすわっチャオスタッフ・石田がレポートいたします!
20年に渡る調査に基づきつつも、なんだかほっこり。
講座第二回も聞き手は髙見俊樹さん、アシスタントは田中高代さんの『タカ・タカコンビ』で進行します。
真ん中に挟まれたゲスト講師は、渡邉 匡一(わたなべ きょういち)教授。
信州大学の副学長であり、中世から近世における知のネットワーク形成について研究している人文学部教授です。
なんと2003年から諏訪市内にある仏法紹隆寺で調査を続けられていて、調査期間は20年になるとのこと。今回はその過程で出会われた様々な資料をもとに講座が進みました。
それにしても、渡邉先生のお衣装が気になるのは、私だけでしょうか。教授というイメージをくつがえすアロハシャツ。そういえばスタジオ入りされた際に「今日もいつもの(アロハですね)」と誰かが声を掛けていたような……。
渡邉先生の落ち着いたトーンで柔らかいお声も印象的です。なにより、講座全編を通してとっつきやすさを感じる回で、渡邉先生がとっても楽しそうにお話されるのが印象に残りました。
次々に登場する絵巻をくまなく見ていこう!
講座では、たくさんの絵図が紹介されます。
現存する絵のなかで一番古いとされる「諏訪社上社古図」。「諏訪社遊楽図屏風」は人物も描かれていて当時の習俗がみえてくるのが楽しく、先生イチオシです。
そのほか「信州一之宮諏訪大明神御社内之図」、「信濃国一宮諏訪本宮絵図」などが参照されます。1つ1つの細かい絵柄から御柱を探したり、拝殿を探したりしてなんだか宝探しの地図でも見ているかのようです。
神仏習合の歴史を振り返る展開へ
古図をよく見ていくと、上社・下社と合わせて神宮寺と呼ばれる寺院も描かれていることがわかってきます。江戸時代以前には神宮寺以外にも沢山の寺院やお堂が立ち並んでいました。
人々は、神様にも仏様にも手を合わせて生活していたことがわかってきます。そこから、講座は神仏習合の歴史を振り返る展開となり、6世紀中頃に伝来した仏教がどのように国中に広めていったのか、そのアプローチの仕方などが解説されます。
この神仏習合解説が渡邉節炸裂という感じ。
解説中に「なんだか、神様が『いいように扱われてきた』ような気がしますが、」と思わず笑ってしまう場面があったり、神様と仏様を厳父と慈母と例えたりしながら、歴史の教科書等で見聞きした事柄が咀嚼されて、私たちの生活のなかにも未だ残っている神仏習合の時代の暮らし方、神様にも仏様にも手を合わせる生き方にまで繋げてお話しされていました。
最後は、「諏訪社遊楽図屏風」のなかにある人々の描かれ方に触れて講座は終了です。
第一回の講師、小林純子先生が再登場し、細かく人々の様子を解説していきます。温泉に入ってほっこりしている人がいたり、旅人が荷物を置いて一休みしていたり、鳥居とお坊さんが描かれていたり。屏風に描かれている人たちはみんななんだかリラックスしています。
▼第一回の講座レポはこちら
渡邉先生の言葉をお借りすると「現在よりも神様と仏様が近いところにいて、人々も神様・仏様と距離が近いところにいる」んじゃないか、と。そういう時代があったことを知っておきたいですね。
「諏訪大社上下社神宮寺由来仏像一斉公開プロジェクト」でタイムトラベルを!
神仏習合に関わるプロジェクトといえば、御柱年である2022年秋には「諏訪大社上下社神宮寺由来仏像一斉公開プロジェクト」も実施されます。これは、神宮寺由来の仏像などを、諏訪大社と寺院が協力して、一斉に公開しようというものです。
動画の最後は渡邉先生がプロジェクトによって古図の時代にタイムトラベルしているような気分を味わいたいと期待を寄せていらっしゃることが伝えられました。
視聴した私も、渡邉先生のワクワクをお裾分けいただいた気分です。皆様も、動画を通じて、歴史に触れるワクワク感を味わってみては!?
URL:https://www.city.suwa.lg.jp/soshiki/30/40989.html
ライター:石田 名保子40代、ワーママ、一児の母。自然豊かな環境と都市の便利さが絶妙に交じり合う、諏訪市に魅力を感じて家族で移住してきました。 |