2022年は御柱年。7年目ごと、寅と申の年に行われる「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」の年にあたります。諏訪大社最大の神事を前に、長野県諏訪市の公共スペース駅前交流テラスすわっチャオでは、活き活きオンライン講座 「御柱と諏訪信仰」を公開しています。
諏訪市公式YouTubeチャンネル上にアップされる、全10回の講座を、新米移住者ライターにしてすわっチャオスタッフ・石田がレポートいたします!
御柱祭の講座なのに、お寺のご住職が案内役です
さて、今回アップされた動画では仏法紹隆寺(ぶっぽうしょうりゅうじ)の岩崎宥全(いわさきゆうぜん)ご住職が進行役を担当されました。
仏法紹隆寺は長野県諏訪市にある古刹。この記事を書くためにウェブサイトを拝見して、その正式名称の長さに苦笑いしました。
鼈澤荘厳山 大虚空蔵院 仏法紹隆寺(べったくしょうごんざん だいこくうぞういん ぶっぽうしょうりゅうじ)!!
お名前だけでも由緒を感じるこのお寺は『開山の後、諏訪大社の社務を務めた』との記述もあり、諏訪大社との関わりが深そうです。ご住職も自己紹介の中で「かつて、仏教の諏訪信仰を担ったこともあるお寺」であるとご説明されていました。なるほど、神社の神事である御柱についての講座にお寺のご住職が登場されるのにも、なにやら理由がありそうです。
第4回の講師は、五味夏希先生。信州大学人文科学研究科で『諏訪大明神絵詞(えことば)』の研究をされてこられました。
第2回の講師を務められた渡邊先生のゼミご出身なんだとか。今回の動画は、五味先生が郷土史イラストレーターとしてブログで公開している、まんがで読む『諏訪大明神絵詞』から6話を、分かりやすく解説する内容でした。
収録時に、ご住職と五味さんにお話しを伺えるタイミングがありました。
ご住職は「五味さんの可愛い絵で分かりやすくご紹介しています。是非、昔の諏訪を、諏訪の歴史を感じてください。」とコメントくださいました。期待が膨らみます。
講座で度々触れられる『諏訪大明神絵詞』とは?
さて、さっそく五味さんのまんがに入るのかな、と思いきや、アシスタントの田中さんから「ちょっとまったー!」が入りました。そもそも、『諏訪大明神絵詞』ってなんなんでしょうか。
御柱講座、既に3本目なのですが(第3回に先駆け第4回が公開されました)、毎回どこかのパートで引用されているので、重要な、古文書なのだろうとは分かっていたものの、どういう物なのか? まずは、そこから入りました。
『諏訪大明神絵詞』は、諏訪の神様のお話や、諏訪社の一年間の神事を記した絵巻。諏訪の神様の絵巻なんですね。
1356年、南北朝時代に作られた、とても豪華なものであったこと、なんと原本は所在不明になっていて、今、私たちが引用して見聞きしているお話は文章を書き写した写本からなのだ、ということが解説されていきます。
現存していれば国宝級なんだそうです。今でも、諏訪のどこかに眠っていたりしないのかしら? 妄想が膨らみます。
いよいよ、まんがで読む6本のお話
今回の動画では、
◯御渡にまつわる「御渡を見ようとしたお坊さんの話」
◯神仏習合に関連した「開成皇子、黄金と水をもらう」「円仁、写経を見守られる」
◯北条氏と諏訪氏についての「諏訪信重、はじめて戦いに行く」「お坊さん、北条氏滅亡を予言する」
という6本のお話がまんがを交えつつ解説されました。
タイトルだけでも、気になるワードがたくさんです。お話では、お坊さんが神様に叱られて反省していたり、神様の化身が現れて何か大事なことを伝えていたり……五味先生の可愛らしいイラストのタッチもあって、不思議な昔話といった感じで見ていくことができます。
でも、解説されてみると、実際に同じような事柄が歴史資料にあったり、お話にでてくる宝物のようなものが仏法紹隆寺に現存していたり、物語を読んでいるようなのに、ちゃんと歴史の筋の中にあることなのが、なんとも不思議です。
諏訪信重や北条氏に関わる物語は、今、週刊少年漫画雑誌で連載中の漫画を思い起こさせますし、神さまの化身として登場する蛇や竜神様は、今秋全国公開された映画にも登場するようです。そんな諏訪の歴史や神様の扱われ方にも触れながら、講座は進みました。
幅広い年代にみて欲しい。五味先生の想い
五味先生は大学院時代に研究で『諏訪大明神絵詞』に出会われました。「諏訪のことを何も知らなかった私に、諏訪の歴史を教えてくれた文献」であり、とても重要な資料ですと話され、多くの人に、より気軽に知って欲しくてイラストレーションされたのだそうです。
「動画も幅広い年代にご覧いただき、1話でも伝わるものがあれば良いなと思っています。」とコメント下さった五味先生も『諏訪大明神絵詞』や諏訪の歴史文化に魅了されていらっしゃるお一人なのだな、と感じました。
ライター:石田 名保子40代、ワーママ、一児の母。自然豊かな環境と都市の便利さが絶妙に交じり合う、諏訪市に魅力を感じて家族で移住してきました。 |