☑️日本で唯一、民間の製糸工場が併設されたユニークな博物館
☑️製糸で日本の近代化を支えたまちの歴史、ひとの歴史
☑️1年を通してお蚕さんと触れ合えます。
はじめまして。岡谷市地域おこし協力隊の佐々木千玲です。絹織物と草木染にハマり、自然豊かなシルクのまち岡谷に移住してきました。
岡谷は明治から昭和初期にかけて生糸の一大産地として栄えました。生糸は主に海外に輸出され「SILK OKAYA」と呼ばれました。国内でも「絲都(しと)岡谷」と呼ばれ、世界でもその名を知られたシルクのまちでした。
諏訪湖のほとりの小さなまちが、どうして生糸で世界一になれたのか?
日本のシルク王と呼ばれた片倉兼太郎や大製糸家たちの熱い思いと製糸機械開発をめぐる闘い、製糸業に関わる人々や工女さんたちの活躍などなど、大河ドラマか朝ドラになってもおかしくない歴史、文化、暮らしの姿がまちのあちこちに。
シルクって、着物やドレス、ストールといった身につけるもののイメージが強いと思いますが、色々な側面から見ると本当に奥深くて面白いんです。
シルクを<知る>、<見る>、<体験する>旅をご紹介できたらと思っています。
ということで、まずは王道、岡谷蚕糸博物館―シルクファクトおかや― をご紹介します。
ここは民間の製糸工場が併設された日本で唯一のユニークな博物館。
蚕糸業の発展の歴史を知るだけでなく、糸繰りの実作業を間近で見られ、製糸工場の匂い、熱気、音などを体感できます。
シルクはお蚕さんが作る繭からできています。着物1着分の反物を作るには、約2,200粒の繭が必要。その数のお蚕さんを育てるには餌となる桑の葉が約70キロ必要になります。そんなカイコとシルクのひみつや、絹製品ができるまでの流れが学べます。
ちなみに、1つの繭から引き出される糸の長さは、約1,500メートル。およそ11個の繭があれば、諏訪湖を1周できちゃいます。いつか糸繰りしながら諏訪湖ウォーキングしてみたいです。
上の写真は、明治時代に富岡製糸場で稼動し、唯一残されているフランス式繰糸機。世界遺産にあるはずのこの繰糸機は縁あってここ岡谷に。貴重な資料です。
上の写真は、岡谷の武居代次郎が開発した諏訪式繰糸機。これぞ、この地が生糸で世界一になった秘密兵器!フランス式繰糸機の約1/30の制作費で作ることができ、しかも性能抜群。早く、たくさん、良い品質の生糸を生み出せたそうです。
全国で唯一、江戸時代から昭和期までの製糸機械類が展示されています。知恵と工夫が詰まった機能とフォルムの美しさ!!萌えます。
昭和初期には3万人を超える工女さんたちが岡谷で働いていました。生糸世界一を支えた工女さんや製糸に関わる人たちの生活や風習を知ることができる展示エリアもあります。
工女さんたちは就業時間が終わるとまちに出て、小間物や化粧品やお菓子を買ったり、劇場や映画館で娯楽を楽しんだそうです。うら若き工女さんたち御用達のお店がいっぱいあったんだろうなと思わせる双六。岡谷と下諏訪の商店名が入っています。
養蚕農家ではさなぎを食べるネズミ対策で猫を飼っていたそうで、猫は養蚕の守り神とされました。開運招福の願いを込めて、繭倉庫の梁に置かれていた招き猫。いまは博物館を守っています。
博物館の前にはランチを食べたり、寝転がったり、走り回ったり、自由に遊べる「マルベリーひろば」があります。レンタサイクルもあるので市内の観光にも便利です。
ほかにも、1年を通してお蚕さんを飼育している「カイコふれあいルーム」や、繭や絹糸を使ったワークショップができる「まゆちゃん工房」などファミリーで楽しんでもらえる体験コーナーが充実しています。(※新型コロナウイルスの影響で、現在はカイコの観察以外は行っていません。)詳細は博物館ホームページをご覧ください。
次回は、博物館に併設されている宮坂製糸所さんをご紹介します。6/25朝に配信予定
岡谷蚕糸博物館-シルクファクトおかや-
長野県岡谷市郷田1-4-8
TEL.0266-23-3489
http://silkfact.jp/
(2020.6.24)
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