三菱ケミカルの「紙コップ」が八ヶ岳の堆肥に?! 八ヶ岳で目指すサステナブルな社会。

近年よく耳にする「持続可能性」「サステナブル」という言葉。国連の提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みもあちこちで見られるようになりました。

そんな折に見つけた、八ヶ岳自然文化園内のレストラン「デリ&カフェ K」にあるこちらの紙コップ。

三菱ケミカルホールディングスグループが開発。生分解性プラスチックを使用しており、土の中で二酸化炭素と水に分解されるとな……。

バッチリ水を弾いてくれるやや固めの紙コップ。
本当に土に帰るのか? 堆肥づくりの現場を見に行ってきました!

コップから堆肥へ。土に帰る生分解性紙コップ

やってきたのは自然文化園のお隣、八ヶ岳中央農業実践大学校。直売所や農場が人気の観光スポットでもありますが、全国から農家を志す人が学びに来る農業学校です。

案内してくださったのは野菜づくりを教えて約20年、農産園芸部長の奥 久司先生。

奥先生。土づくりの研究をしています。

まずは2020年11月に紙コップを混ぜた堆肥のところへ。

牛糞などを使っていますが、堆肥化されているからかあまり臭いませんでした。

コップがいっぱい。デリ&カフェKの他、三菱グループの社食などから出た紙コップも含まれます。

紙コップ、ぜんぜん土に帰っていないのだが……

取材時(2020年12月初旬)ではまだまだコップの形が残っていました。というかぐしゃっとなってるだけで土に帰る気配があまりないけど大丈夫かこれ……

次に見せていただいたのは、2020年3月に堆肥と混ぜたもの。同じく生分解性プラスチックのフォークやストローも一緒に混ざっているそうです。

おや? コップがない?

コップはほぼ土に帰り、フォークが少し残っているくらい。

すごい!! 本当に土に帰っていました!! 

三菱ケミカルが開発した生分解性プラスチック「BioPBS™」は植物原料を使用、最終的に土の中で二酸化炭素と水に分解するそう。

奥先生によると、生分解性プラスチックが土の中の微生物のエサとなり、土壌の多様性に貢献している可能性もあるとのこと。

今ある地球上の表土は、人間が誕生する何十万年、何億年前から氷河期や灼熱期をくり返し、目に見えない微生物達が生き延びながら延々と培われてきた結果だと言われています。
その歳月をかけて作り出された土壌に、化学肥料や農薬の多用などが急激な変化をもたらしました。微生物が追い付かないのです。
私は、そういった状況の中でもより良い環境を考え、肥料・農薬の使い方を研究し、良い土壌を作り出していかなければならないと思っています。私たちの根幹を支えてくれている微生物たちに「悪いなぁ~」と思いながら、日々努力と研究をしています。

単に「土に帰った=ゴミが減った」というだけでなく、今後、生分解性プラスチックを混ぜたことでより上質な堆肥になったかという検証をしていくそうです。

八ヶ岳から始まる新しい循環型社会

八ヶ岳中央実践大学校で作られた堆肥は、大学校の他、八ヶ岳山麓の農家さんのもとで土づくりに使われます。

八ヶ岳生とうもろこしを作っているHAMARA FARMさんもその1つ。

HAMARA FARM
▶︎とうもろこしを通して八ヶ岳に出会ってほしい。HAMARA FARM「メロンより甘い」八ヶ岳生トウモロコシ誕生の経緯

そしてそこでできた野菜は、三菱グループの社員食堂や都内のイベントなどで使用するため都市に送られます。紙コップやストロー、フォークなど、今まで使い捨てされていたものが、土に帰る素材になったことで都市と地方をつなぐツールにもなっているのです。

このプロジェクトの中心となっているのが「N_yatsugatake」(エヌ八ヶ岳)。
都市の大企業と地方の団体・農家がチームを組み、八ヶ岳から新しい循環型社会をつくることを目指しています。

お花のような乾燥野菜「HANAVEGE」など通年で購入できる商品もあるので、気になった方は「N_yatsugatake」のホームページをご覧ください。

紙コップやストローなど、身の回りにあるものが何でできているのか、使い終わったあとどうなるのか。今一度考えるきっかけとなりました。

N_yatsugatake(エヌ八ヶ岳)
ホームページ https://8katte.com/n8/index.html

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