諏訪の民話・伝説をめぐる旅 11
諏訪と伊那を結ぶ道・法華道の巻

☑️ ゴンドラリフトで雲の上。そんなにあった!? 諏訪と伊那を結ぶ道
☑️ 星好きのマナスル山荘と入笠山山頂
☑️ 峠を越すのも命がけ? 名前も怖い「首切り清水」を通って大阿原湿原へ

今年の秋は、富士見パノラマリゾートのゴンドラリフトにお世話になりました。標高差700m、一気に入笠山の山頂駅へ到着すると、目の前に広がる八ヶ岳の雄大な景色。
1回目は朝5時半、眼科に広がる雲海を見に、2回目は昼前から、民話の残る場所を確認しに行きました。

今回の舞台は入笠山です。参考にした資料はこちら。

長野県上伊那郡誌 歴史編

「入笠に咲く花」富士見パノラマリゾートのパンフレットです。

ゴンドラリフトで雲の上。そんなにあった!? 諏訪と伊那を結ぶ道

まずは、山頂駅周辺からの眺めと、秋の山の風景です。


山麓駅から山頂駅へと向かうゴンドラリフト。駅から飛び出すときはドキドキします💓

登るにつれて眼科に広がる雲海。

山頂駅から八ヶ岳を望む展望台へ。
日の出から間もなくの時間帯でした。雲海に浮かぶ、なだらかな八ヶ岳の稜線。

マツムシソウが名残り惜しそうに咲いていました。

秋の気配。

以前、辰野町・沢底の記事を書いた頃から気になっていたことがあります。

記事はこちら:諏訪の民話・伝説を巡る旅7 どこまで「諏訪」だったのだろう? 有賀峠の伝説と辰野町・沢底

「諏訪と伊那を繋いでいた道は、今(辰野への有賀峠ルートと、高遠への杖突峠ルート)の他にもあったのではないだろうか?」

ちょっと長いですが、「上伊那郡誌」に、諏訪・伊那を結ぶ道の記述がありました。それによると、中世にはなんと12ルートも道があったようなのです!

折角なので、書き出してみます。富士見の方からです。(p504~)
1 戸台→赤河原→横岳峠→釜無川→富士見休戸
…古代伝説の日本武尊の通路だそうです。
2 芝平→首切清水→八合目観音堂→富士見木之間
3 芝平→説教岩→池の十(とお)→富士見若宮(法華道)
4 芝平→御所平→御射山神戸
…御所平は北条時行の隠遁に関する伝説を持つともあります。
5 御堂垣外→松倉→大池→金沢(金沢峠)
6 御堂垣外→松倉硫黄沢神社→三角平→山の神→宮川安国寺
7 御堂垣外→片倉→宮川高部(杖突峠)
…今でも諏訪と伊那を結ぶ大事な道ですが、中世でも重要な交通路だったとあります。
8 長岡新田→椚平→後山→真志野(真志野峠)
9 平出→上野→豊田有賀(有賀峠)
10 平出→傘平→小坂(小坂峠)
11 平出→駒沢→岡谷
…唯一平坦な道。
12 小野→三沢(三沢峠)

私では場所が分からない地名がいくつかあります。分かる方なら、ルートが思い浮かぶでしょうか。

この中の3(法華道)が、この入笠山付近を通っていたことが、富士見パノラマリゾートのパンフレットに載っていました。
そうなれば、確認してみたくなりますね。

星好きのマナスル山荘と入笠山山頂

山頂駅から、入笠山方面へ向かいます。入り口付近にある、南アルプスジオパークの説明板。

この辺の露頭の岩石(緑色岩)は、なんと海洋性起源なのだそうです。100万年も前の話。

湿原への入口にある入笠山登山のマップ。行きは入笠山へ登山して、大阿原湿原まで行き、帰りは下の道で山頂駅まで戻る計画です。
順調にいけば片道1時間半ほど。

入笠湿原への木道。夏は両脇にスズランの花が咲き乱れます。涼しくて天国のよう✨

入笠湿原へは山頂駅から20分くらい。ここまででも高原の気分が味わえます。

湿原から入笠山へ向かって歩くこと15分ほど。マナスル山荘で休憩することにしました。


本館と天文館があるようで、実は天文も好きな私には、山荘の雰囲気が大変懐かしく感じました。そうそう、天文系の部室の雰囲気。

ここでお昼に、ローストビーフ丼を頂きました! 山の上で大変な贅沢🍚

スタミナをつけたところで、入笠山山頂を目指します。途中、保育園の遠足と思われる皆さんを見かけました。小さくても、しっかり登っていましたよ。

入笠山山頂へ到着! マナスル山荘から30分ほど。結構きつい登りの所もありました。


奥の方に見えているのが伊那方面の景色です。下っていくと高遠へ。

入笠山山頂からの見晴らし。八ヶ岳の裾野、茅野市、原村、富士見町方面がクリアに見えました。

南側には富士山もくっきりと! 大変良い天気でした。

北側には諏訪湖も。

峠を越すのも命がけ? 名前も怖い「首切り清水」を通って大阿原湿原へ

山頂から、今回確認したかった諏訪・伊那をむすんだ道を確認しに、別ルートで下山。

山頂から下ること10分、沢筋のような少し低くなっている所に、「法華道 佛平峠」の表示がありました。
こんな高いところ(標高1,850m)を通って行き来していたんですね。

更に下っていくと、井戸のような物が見えてきました。その名も「首切清水」。ここにはこんな伝説が。

「昔、高島藩の金奉行が江戸に参勤の藩主のもとへ金を届けるために、近道をして三義から山の麓を経てこのまで辿り、汗をぬぐい清水で喉をうるおさんと腹ばいになったところを、後からつけてきた盗賊に切られたという伝説が残っている」(富士見町の看板の引用)。
周囲の薄暗さが不安感を増します。

せっかく峠を超えてきたのに、ここで……。行き来も命がけですね。

最後に大阿原湿原を目指しました。

秋の午後は休日も人影が少なく、静かで大変美しい場所でした。

まるでアニメ映画に出てくる森の中のよう。

苔がまた美しいのです。

湿原の一部には木道が設置されていて、車椅子の方でも通行ができるようになっていました。

帰りは入笠山下の道を歩いて入笠湿原を通り、リフト乗り場にたどり着きました。ご飯も入れて、トータル5時間くらい。よく歩きました。

古い道は楽しいです。昔の人は当たり前のように峠を歩いて超えていたんだなぁ……。
12のルートを辿ってみたい気もしますが、道無き道は、私のような初心者には無理でしょうね。

また来年、リフトに乗って山上へ行かれる方は、ぜひ伊那方面も見える入笠山へも登ってみて下さい。

ライター紹介:河西 美奈子

司書でスワんこプロジェクト(諏訪の文化を伝える紙芝居を作るグループ)リーダー。星と落語・講談が好きで、最近古道散歩にハマっています。
諏訪にはもっとディープな人が多いので、まだまだ序の口。
https://www.facebook.com/SwancoProject

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