2021年8月21日(土)NHK総合で「ブラタモリ#182」が放送されました。今回の舞台は長野県・諏訪! 旅のお題「なぜ人々は諏訪を目指すのか?」を探ります。
御柱祭の木落とし坂をつくった断層、諏訪湖の成り立ち、「星糞」こと黒曜石、縄文人の暮らしに欠かせない片岩、静岡構造線と中央構造線が交差する諏訪の魅力、諏訪湖から富士山が見える理由……など、盛り沢山。
年間1200万人の観光客が訪れる諏訪。縄文時代から現在まで、人々を引き寄せる諏訪の魅力がたっぷり詰まった回でした!
諏訪大社上社前宮から木落とし坂へ。御柱祭の見せ場は断層でできた|ブラタモリ
まずは諏訪大社上社前宮へ。諏訪大社は全国の諏訪神社の総本社であり、諏訪湖周辺に4箇所の境内地があります。
境内でタモリさんが見つけたのは「御柱」。諏訪地域では、寅と申の年の7年目ごとに諏訪大社の社殿の四隅に「御柱」と呼ばれるモミの大木を建てる神事「御柱祭」が行われます(ブラタモリでは6年に一度と紹介)。次の御柱祭は令和4年!
諏訪市出身の芸人、藤森慎吾さんが御柱祭で木遣り歌を歌ったことを誇りに思っているというお話しもありましたね〜。
続いて向かったのは上社の木落とし坂。急斜面を氏子が乗ったまま巨木を落とす、御柱祭最大の見せ場です。
タモリさん、「ここは断層崖ですか」とご名答。木落し坂は多くの断層が密集する糸魚川ー静岡構造線活断層帯(糸静線)の上にあり、断層によってできた急坂を利用したものだとのこと。
神秘現象「御神渡り」と諏訪湖の成り立ち|ブラタモリ
続いて諏訪を一望できる展望台へ。多くの人を惹きつける諏訪湖の自然現象「御神渡り」についての紹介が。そもそもなぜここに湖ができたのか、諏訪湖の成り立ちに迫ります。
諏訪湖も糸静線がつくったもの。タモリさん「断層の本場ですね!」とコメントされていました。
縄文人に大人気! 諏訪の黒曜石|ブラタモリ
縄文時代中期、諏訪地域は全国で最も人口密度が高かったと言われています。その理由のひとつが黒曜石。江戸時代の史料には「星糞(ほしくそ)」と書かれていましたね。星糞って……(笑)
透明度の高い諏訪の黒曜石。縄文時代には諏訪の黒曜石が一流ブランドだったんですね。
日本最古の鉱山、縄文時代の採掘跡にタモリさんも興奮されていました!
黒曜石のことが学べるミュージアムが下諏訪町にあります。おすすめ。
縄文人の暮らしをより豊かにした片岩|ブラタモリ
黒曜石が採れる山から、また別の山の河原へ。ここに縄文人の暮らしを豊かにした石があると言います。タモリさん、「片岩ですか」とまたまたご名答。
縄文時代、片岩は鍬として使われていたと言います。狩猟・採集のイメージが強い縄文時代ですが、近年の研究では、高度な植物栽培をしていたことがわかっているそう。縄文人にとって、片岩が簡単に手に入る諏訪地域はとても魅力的だったんですね。
日本列島を横断する断層、中央構造線の付近で出土する片岩。中央構造線付近には、諏訪大社、豊川稲荷、伊勢神宮、高野山など、不思議と聖地が集まっているというお話もありました。
解説者として登場された井戸尻考古館の館長、小松隆史さんにお話を伺った記事はこちら。
糸魚川―静岡構造線と中央構造線。断層が与えてくれる恵み|ブラタモリ
最後は諏訪湖へ。諏訪湖からおよそ100km離れた富士山がきれいに見える理由についてお話がありました。これも断層のおかげ。富士山から諏訪湖まで、断層によってまっすぐ谷ができているのです。
そしてこの谷があったことが、縄文人が諏訪を目指しやすかった理由だそう。
縄文時代、温暖化によって海面が高くなる「縄文海進」によって海沿いから内陸に移動せざるを得なくなった人々が、谷に沿って移動していき、諏訪にたどり着いたと考えられているそうです。
黒曜石が出るのも、片岩が出るのも断層のおかげ。断層はときに災害を起こすが、恵みも与えてくれるという締めでした。
地形・地質から見る諏訪の魅力
タモリさんもぼやいてましたが(笑)、今回は街中でのロケはなし!
山の中がメインでしたが、それだけに地元に住んでいても知らなかった諏訪の魅力を知った、という方も多いのではないでしょうか。
放送を見逃した方はNHKプラス(8月28日まで)やNHKオンデマンドで見ることができますよ。※要登録
ぜひ見てみてください!
ライター:おいちゃん信州松本生まれ、10歳から東京渋谷育ち。カルチャーショックを受け、小学生にして将来は地方移住することを念頭に生きる。大学卒業とともに縁あって茅野市に移住。諏訪旅1人編集部の編集長。 |