☑️岡谷蚕糸博物館内に併設された<動く展示>
☑️日本で唯一、手作業でも糸繰りをしている製糸工場
☑️まゆからランプシェードを作るワークショップが楽しい!
岡谷市地域おこし協力隊の佐々木千玲です。前回は、岡谷が生糸で世界一になった秘密をご紹介しました。
(記事はこちらです。『なぜ生糸で世界一?貴重な資料と“動く展示”で秘密に迫る!』)
今回は、実際に稼働している製糸所をご紹介します。
1930年当時、日本国内に製糸所は約3,300ヵ所ありました。
いま、国内に現存する製糸工場は4ヵ所のみで、そのうち2ヵ所が諏訪地方にあることをご存知ですか?
ひとつは下諏訪町の松澤製糸所さん、そしてもうひとつが今年で創業92年目を迎える岡谷の宮坂製糸所です。
製糸所とは、まゆから糸を取る工場のこと。宮坂製糸所は岡谷蚕糸博物館内に併設された、日本で唯一、手作業でも糸繰りをしている製糸工場。ということで、博物館を見学すると、実際に糸取りをしている女性たちの手仕事も間近で見ることができるんです。
(現在は、コロナウイルスの影響で透明なカーテン越しに見学)
おお!明治時代から変わらぬ手作業での糸取りの姿!
日本でここだけでしか見られません。この姿こそ世界遺産かも。
機械で取った糸はツルツルのきれいな絹糸ですが、この上州式繰糸機では節のある糸が取れます。織物にするとふっくら独特の風合いになります。
まゆから糸を引き、それが木の枠に巻き取られていく様の美しさ!!
(写真では伝えきれないのが残念!!)
じーっと
見ているとなんだか気持ちがゆ~ったり落ち着いてくるんです。
しかし!糸を取っている方々の作業は相当難易度高いです。
まず、まゆは煮てあるのでお湯の温度は高め(70~80度くらい)。アチチなはずなのに、みなさんの手の動きの美しいこと!
太さが均一で美しい糸にするために、絶妙な手技がいくつも繰り出されているのです。
ぜひ間近で見て欲しいです。
自動繰糸機も色々あります。展示用のレプリカだけでなく、実際に工場で使用中のものもあり、工場好きな方でしたら、この雰囲気にかなりわくわくするかと思います。
工場の中で体験するワークショップ。まゆから糸をひいてランプシェードを作ることができます。
この日は、岡谷でエステサロン『RESET』をオープンされた小口修示さんと店舗設計を担当されたSyu設計室の河西正輝さんが体験。せっかくだから岡谷のシルクで自分の手で作ったものをお店のインテリアに使いたい!という思いで体験されました。糸から作るんじゃないんです。まゆから作るところがポイント!糸がするすると引き出される感覚にお二人とも大満足されていました。まゆ糸ごしのランプの灯りはやさしくてあたたかいです。お子様でもできるので、親子で体験されても楽しいと思います。
こちらは、ファクトリーショップ。お土産に大人気のシルクソープは、もっこもこの泡立ちでリピーター多いです。
私のお気に入りです。泡立ちがすごいので、泡に包まれるような幸せ感、洗い上がりもすっきりでいいですよ。
宮坂製糸所は銀河シルク、トルネードシルクといったオリジナルの生糸も開発しており、織物作家さんだけでなく、ファッションデザイナーはじめ多くのクリエイターと仕事をしています。
シルクは吸湿性、保温性に優れ、紫外線もカットする健康素材であり、埋めたら土に還るサスティナブルな天然繊維としても注目されています。5000~6000年前から人とともにあるシルクですが、これから新しい使い方が生まれてくる気がしています。昔からの手引きの糸と新しい糸を生み出せる宮坂製糸所は貴重な存在。ものづくりをしている人にはぜひ見てほしい場所です。
宮坂製糸所(岡谷蚕糸博物館-シルクファクトおかや-内)
長野県岡谷市郷田1-4-8
TEL.0266-22-3116
https://www.msilkpro.com/
(2020.6.25)
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