諏訪は出雲と同じ『神在月』だった!? 今も残る諏訪湖の巨大龍神伝説!〜絵本『諏訪の龍神さま』より〜

☑️諏訪は『神在月』という民話が残っていた!
☑️諏訪湖の龍神は超巨大だった!諏訪エリアに点在する龍神スポット!
☑️絵本『諏訪の龍神さま』の中から、「信濃には神無月がない」完全版を諏訪旅だけでご紹介!

諏訪が『神在月(かみありづき)』ってご存じでしたか?
旧暦10月、全国の八百万の神々が出雲にお集まりになるという云い伝えから、出雲は『神在月』、その他の地域は『神無月』と呼ばれています。
そのことはパワースポットが大好きな、のだオバさん(僕)は知っていたし、出雲にお参りにも行っていました。

大国主大神と因幡の白兎像

しかし…移住した諏訪までもが神在月だったなんて!!

今回は、あまり知られていない諏訪の神在月の民話について、深〜くご紹介したいと思います!

神在月伝説の元になった諏訪湖の巨大龍神

「野田さん、諏訪が神在月って知っていました?」
そう話してくれたのは、長野県のソウルフード『みんなのテンホウ』社長・大石壮太郎さんでした。

みんなのテンホウ 大石さん(左)と僕。※みんなのテンホウについてはこちら。『年間ラーメン200万食!長野県民に愛される「みんなのテンホウ」の楽しみ方』

「諏訪湖には、大きな大きな龍神さまがいらっしゃるんです。あまりにも大きいので、出雲の神様の集まりに参加したら、尾っぽはまだ諏訪湖にあったそうです! そんな民話が残っているんです」と、教えてくれました。
でっけーーーー!!! 本当ですか大石さん!? と詰め寄ってしまいました。

さらには、「そんな大きな龍神さまが諏訪の神在月と関係している」、「龍神さまの尾が掛かっていた木が下諏訪にある」という驚きの内容でした。

もしそんな民話があったなら、全国の龍神ファンはたまげるかもしれません!(あっ! 僕も龍神大好き人間です)

江の島 龍宮大神にて。

続けて大石さんは、熱く語り出しました。
「諏訪エリアには、龍神に関わる民話やスポットがいくつもあります。でも地元の方を含めほとんど知られていません。龍神と言えば、長野県だと戸隠神社だと思われています。
諏訪エリアにある民話やスポットを、地元の子どもたちや、観光のお客様に伝えていきたいです」
そう言って、スマホに入っている龍神スポットの写真(一部)を見せてくれました。

左上から時計回りに、諏訪大社下社秋宮の御神湯、諏訪大社上社本宮の梁、慈雲寺の龍の口、仏法紹隆寺の成田堂

左上から時計回りに、照光寺の龍象の水屋、手長神社の龍王大明神、諏訪龍神の舞、世界の太鼓博物館の祈願祭に使用されていた龍頭

さらには「こんな面白い龍神さまもいらっしゃいますよ」と見せてくれたのはこちら!

諏訪大社下社秋宮の駐車場内

ア、アフロ龍神!?
龍神の頭上に、枝が伸びたのかしら?
元々は、閉館したホテル山王閣にあり、龍の口から温泉が出ていたそうです。

すごい! 諏訪エリアにこんなにも龍神スポットがあったなんて! さすが大石さん!
「この諏訪の龍神さまの民話を伝えて行くために、まずは絵本にしたいと思います。
野田さんもプロジェクトに入ってください!」
え? なにその急展開? と思いましたが…少しでもお役に立てればと参加させていただきました。

諏訪市の産業連携事業補助金を活用させていただきながらの絵本作りです。

メンバー
企画:大石壮太郎さん
デザイン・イラスト制作:小平陽子さん(グラフィックデザイナー)
文献資料研究・再話:河西美奈子さん(スワんこプロジェクト リーダー)
※諏訪旅のライターでもあります。『民話・伝説をめぐる散歩道』
サポーター:小口正史さん(プロジェクトディレクター)
※諏訪旅のライターでもあります。『コスパ最高!諏訪の旨いと元気が集まるお店 飲食処ばんや!』
サポーター:のだオバさん(放送作家)

そして、出来た表紙がこちらです。龍神の鱗とタイトルがキラキラと光ります!

『中央印刷(岡谷市)』の特許技術インラインフォイラーで製作。

諏訪湖が見渡せる立石公園にて。

それでは、諏訪の民話を絵本にした『諏訪の龍神さま』の中から、諏訪湖の龍神が大き過ぎて神在月になったという話をご覧ください! 完全版です!

民話『信濃には神無月がない』完全版

むかしむかし。毎年の十月には、日本中の神様が出雲の国へ集まって、国づくりの話しあいをしておりました。今でも十月のことを、神さまがいなくなる地方では、<神無月(かんなづき>、出雲では<神在月(かみありづき)>といいます。

ある年の十月。八百万の神さまが出雲の神殿に集まっておりました。


お社の外には松明の灯りがもれ、神さま方のわらいさざめく、にぎやかな話し声がながれていました。
灯りに照らされたお姿は、はばたく鳥や鹿、天狗のような長い鼻のもの、蛇や、はたまた魚の形のものなど、人と異なるものも多くおります。

夜もふけて、松明の灯りがさらに赤々と燃えさかったころ。いのししのような影が動いていいました。
「諏訪の神が来ておられぬようだの」
さかずきを手に、さるのような影が首をかたむけました。
「大事な話しあいだというのに、いかがなものか」
さざ波のように、思案する声が広まっていきます。
「こまった方じゃ…」「ほんに、ほんに…」

ついに出雲の神がつえを手に立ちあがり、話しあいを始めようとした時です。
松明の灯りが、ばっと大きくゆらめきました。

「やれやれ、遠かったぞ」

地響がして床がゆれ、われるような大声が神殿にひびきました。
ひそひそとつづいていたささやき声はぴたりと静まり、八百万の影がいっせいに天井を見あげました。


「諏訪の神じゃ!」
「なんと! 巨大な龍でござる」
「あな恐ろしや、恐ろしや」
パチパチと火の粉がはぜ、神殿の梁に巻きつく岩のような龍の顔が浮かびあがりました。
黒々とした目玉がギョロリと見おろし、赤い舌が動くたび、稲妻が地に走るようなありさまです。

「見たところお顔しか見えませぬが、体はどこにあるのじゃ」
ふるえる声をひきしぼり、きつねのような影がたずねました。

「首は社を七まき半しておるが、体はまだ途中じゃ。尾は諏訪湖のほとりの、高い松の木にかかっておる」

鼻からシュー、シュー、と風のように息をふりまきながら龍神がもうします。
神殿の中は、みな飛ばされぬよう頭をかかえたまま伏しており、身じろぎの音すら聞こえぬ始末です。

やっとのことで、出雲の神が顔をあげました。
「そのような大きな体では、ここまで来るのもひと苦労であろう。いかがかな、諏訪の明神さまはここまで来られなくてもよいということでは」
「さよう。難儀なことじゃ。ここで決まったことは、伝令を使わせてお伝えいたそう」
「さよう、さよう…」
うなずきあう無数の影が、松明の灯りにゆらめきました。

「それはありがたいことだ。よろしくお頼みもうしますぞ」

ふたたび灯りがふわっとゆれ、火の粉が舞いあがりました。
大きな龍の顔が天井からはなれ、神殿の外へ飛びだしていきました。

たちまち黒雲がたちこめ、出雲のお社に、ざっと大粒の雨が降ってまいります。
ひとすじの雷を残し、諏訪の龍神は諏訪の湖へと、出雲を去っていきました。

こうして信濃では、龍神がいるので十月を<神在月>と言います。

また、龍神が「尾は…」といったことから、諏訪市の大和(おわ)という地名が、
「高い木にかかっておる」といったことから下諏訪町の「高木(たかぎ)」という地名ができたといわれており、高木には<尾掛松(おかけまつ)>が今でも残されています。
参考文献:新版 日本の民話第一巻「信濃の民話」未来社

いかがでしたでしょうか?
このような民話が諏訪には残っているんです!

ちなみに民話の中にあった、龍神が尾を掛けたという『尾掛松』は、下諏訪の『杉の木神社』にありました。

ひっそりと佇む杉の木神社

説明書によると、100年前に枯れてしまったそうです。

民話に関わる場所があるなんてステキですね!

まだまだある諏訪の龍蛇伝説

絵本『諏訪の龍神さま』には、民話『信濃には神無月がない』の他に、3つの龍や蛇に関する民話が収められています。


九州が元(げん)の船に攻められた時、諏訪の龍神が飛んで行き、大風を起こして撃退したという『蒙古襲来〜諏方大明神画詞より〜』や、諏訪明神の化身である犀龍(さいりゅう)が白龍王と夫婦になり、産んだ人間の子・泉小太郎と協力し合って松本と安曇野を切り開いたという『泉小太郎伝説〜信府統記〜』

泉小太郎伝説

さらには、蓼科山の地下から出られなくなった甲賀三郎が、地下の国・維縵国(ゆいまんごく)の王から贈り物【千頭の鹿の生肝でつくった餅、菅という草であんだ行縢(むかばき)、御玉井紙(みたまいがみ)、萩の花、厄除けの投鎌(ないがま)、梶の葉の紋の直垂(ひたたれ)、三葉柏の幡】を貰い地上に出ると、大きな蛇になったという『甲賀三郎物語り〜神道集 諏訪縁起の事より〜』です。

甲賀三郎物語り

どうです? 興味深い民話ばかりですね!

色々と龍神の民話やスポットがある諏訪エリアですが、神道や仏教は“諏訪の龍神”を、どのように捉えているのでしょうか?
八剱神社の宮坂宮司と、仏法紹隆寺の宥全住職に伺ってみました。

神道や仏教からみた諏訪の龍神

八剱神社 宮坂清宮司

諏訪明神と龍の関係については、諏訪大社上社のご神体山に雲がかかると雨が降るといわれており、山に鎮まる神が水の徳を秘めているとされています。
そのようなことから諏訪の神の姿は龍であるといわれ、蛇体となって顕われた甲賀三郎伝説にもみえています。

また、御渡りや湖の氾濫などの自然現象も、湖にひそむ水の精霊(=龍)の存在を彷彿とさせるのではないでしょうか。『天竜川』の名も、それを連想させます。

諏訪湖の御渡り

水は生きていく上で欠くべからざるものです。生命の源、全てのものを育み、人々の心に潤いをもたらす水。諏訪の明神様は水や風の守護神、龍神様として古くから親しまれ、信仰されているのです。
※絵本『諏訪の龍神さま』より一部抜粋

仏法紹隆寺 岩崎宥全住職

今、私たちが認識する姿の「龍」は、仏教と共に中国より日本にもたらされたといいます。
弘法大師さま(空海)も中国の青龍寺より龍神(清瀧権現)を日本にお連れし、密教の守護神とされました。そして、諏訪の仏教は、伝来当初「法華経」というお経の信仰が礎となり、法華経の中に説かれる八大龍王と共に龍の信仰もやってきたと考えられます。

仏法紹隆寺 清瀧権現

※今回は特別に撮影させていただきました。

その頃、この諏訪の地には豊かな大自然を崇拝する心、諏訪の神さまを信仰する心が人々の生活の支えとなっていた事と思います。そこに「龍」という強大な力を持つ聖獣が融合し、諏訪の龍神さまが生まれ、人々の畏怖する信仰となったのではないでしょうか。

それは、アニミズムでもあり、神さまでもあり、仏さまであったのです。龍神さまは諏訪人の心に住まう信仰の結晶なのです。
※絵本『諏訪の龍神さま』より一部抜粋

う〜ん、深いですね!
僕がこの地に移住して感じるのは、地域の方々が「自然に対して畏敬の念を抱いている」ということです。山を愛し、水を大切にしています。
龍神信仰は、その想いの延長上にあるのかもしれませんね!

どこで絵本『諏訪の龍神さま』を購入できるのか?

諏訪エリアの学校に配り、子どもたちに読んでもらおう! と始まった諏訪龍神プロジェクトですが、約500冊は購入していただけます。
1冊 1,650円(税込)

現在は、岡谷市にある『笠原書店(本店・レイクウォーク店)』 、諏訪市にある『SUWAガラスの里』『シルクファクトおかや』『ゆめひろ』などで販売予定です。
また長野県に33店舗を展開する中華食堂『みんなのテンホウ』では、各店舗で閲覧することもできます。

※絵本に関するお問い合わせは、『アトリエコダイラ』
メール:yokokoda@po25.lcv.ne.jpまで。

諏訪の龍神物語は、いかがでしたでしょうか?
この絵本にはスポットの掲載もありますので、絵本を片手に諏訪エリアを楽しんでいただけたらと嬉しいです。

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のだオバさん。

放送作家。夢で「諏訪大社に行け!」と言われたのを真に受け、長野県茅野市に移住^_^余所者の目線を通して、諏訪・八ヶ岳エリアの魅力を発信!花好きから「あいつオジさんのくせに、オバさんっぽいな」と言われ『のだオバさん』に…。天然の妻・フリーアナウンサー谷岡恵里子は相当ヤバい(笑)
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